50φセッティング 2

50φ導入によって、もしネガティブな症状が出るとすれば、それはおそらく中回転で流速が立たないことにより負圧が発生せず、ガスが入らないことが原因の息ツキだろう、と予想していたのはすっかり外れて、実走してみるとこの辺りの一発目の感触はかなり良かったのですが...

やっぱりやってみると色々と出てくる物ですね〜

加速ポンプが吹ききったと思われる瞬間、A/F計は一気に薄い方に振れてしまいました。体感でも空燃比が変化すると同時に加速が鈍るのが分かります。13〜13.5辺りと理論空燃比付近まで行ってしまいとてもじゃないが恐ろしくて回せません。2速より3速の方が薄化するポイントが低回転側にあります。
このときのセッティングは50φのデフォルトのまま。燃圧=0.35、ジェットブロック=OB、メインジェット=220、エアジェット=200、パイロットジェット=75、です。

高回転で薄いなら...普通はメインジェットをでかくしますよね。しかしただのBPハイコンプでそんなでかいジェットが入るものなのでしょうか...ベンチュリーサイズが大きくなるとメインが大きくなるのは経験済みですが、メインジェットはそもそも250までしか無いのです。何となく納得行かないながら亀有のジェットブロックにメイン250とエア200を取り付け試走に出ます。

3000回転辺りまでで流していると、空燃比計の針は常時濃い側目一杯(一応目盛りは8)に張り付いてます。乗った感じもトルク感はあるもののレスポンスは鈍く、排気音も汚い感じです。明らかにパイロットジェットでか過ぎですね。
アイドリングでも濃い方に張り付いてます。これはパイロットの大きさもありますが、主にアジャストスクリューの戻しすぎですね=1.5回転戻しのまま。

んで、一番問題である高回転での薄化は...メインジェットを大きくしたにもかかわらず更に悪化してしまいました。AF14オーバー! 更に薄化のポイントも低回転よりになり、薄化もより唐突になり、体感上でもはっきり加速しないのが分かり、まったく回す気になれませんでした。

何故なのか?

症状から考えられるのは、フロートのガス量が足りなくなっているという事です。
ここでちょっと思い出して欲しいのが、50φ用に拡大したマニホールドの写真です。ベンチュリーの中心点は44φと変わりは無く、同心円で半径3ミリ大きくなってましたよね。
ガスのたまっているフロート室はベンチュリー間に有りますから...端的に言うと構造上50φのフロート室は44φより小さいんですね。

中回転まででガスを持ち出されてしまって高回転で吹けるガスが残っていない、と考えるのが自然でしょう。
デフォルト状態でも加速ポンプの吐出量が44φより大きく、パイロットが濃いため低回転で持ち出されているガス量も多かったのでしょう。
そこにさらに亀有のジェットブロックを使用しました。私が44−39で流速が立たない中間域を亀有のジェットブロックによって、ガスを入れたのは以前報告したとおりです、さらにメインジェットを拡大したのですから、中回転までで吐き出されるガスは増えています=高回転での吐き出しが更に厳しくなったんでしょうね。

辻褄は合います...が、原因が分かったところで、一体どうすりゃいいんでしょう(笑
やっぱり何かセットアップをミスしているのかもしれないなぁ。

燃料回りを見直していきます。私の車は、IJ用の高圧ポンプをそのまま使用しています。燃料タンクからエンジンルームまで外径8ミリのパイプで送られたガスを、高圧用レギュレーターを使って圧を絞り、2基のキャブに直列で送っています。余ったガスは送りと同じ8ミリパイプでタンクに戻されています。

この一連の燃料ラインの中でまず疑ったのは「高圧用のレギュレーターの吐き出し量」です。
ポンプが吐き出してないとは考えにくいので、レギュレーターの中で圧と一緒に流量まで絞られているのでは無いか? と考えたわけですね。

そう思ったら即実験。キャブ手前のホースを外してエンジン停止状態でポンプを動かします(スイッチが有るととっても便利(^o^))。メスシリンダーなどのガスを受けるのに適当な物がなかったので...そこいらに有った瓶=ヘネシーの空き瓶(笑)に受けました。なんと15秒で一杯になりました。ヘネシーは700ml入りですので...2.8L/min(!)

理論上、私のエンジンのガソリン消費量は最大1.25L/min程度です。また、踏み込んだ瞬間の瞬間的なキャブからの吐き出し量増加を想定して、中回転でのメインジェットで計量される吐き出し量+加速ポンプ吐き出し量を計算しても...2.8L有れば足ります。原因はどうやらレギュレーターじゃないらしいですね。

キャブまでは来てる、となると疑わしいのは...ニードルバルブかな?
ニードルバルブはキャブの燃料パイプの真下にあって、フロート室の蓋に下側から留まっています。でかいメインジェットみたいな格好をしており、上からガスが入り、下から吐き出します。内部に弁機構を持っており、弁はフロート(浮き)によって開閉されます。


こんな感じの物です。


フロートの蓋を裏返しにしたところです。ニードルバルブは二面幅14ミリで、私は6ポイントのソケットで外しましたが、当たってしまうのでソケットが奥まで掛からずちょっと不安になりました。多分ミクニには専用工具が有るのでしょうね。

ノーマルの50φには1.8のニードルが付いてきてました。ガスが入る側の穴は同じサイズで、数字は吐き出し側の穴の大きさを表しています。ここで絞られて足りなくなっているのではないか、と考え一つ大きなサイズ=2.0に変更しました。

この変更で起きうる事を考えておきます。
もちろん、狙いはガスがフロート室内に吐き出されやすくなることで高回転での流量を確保する事です。ならば何故デフォルトで大きなニードルが付いていないのか?...大きいニードルでは流量を上げられる一方で流量制限が難しくなるのです。
水道を想像して下さい。ちょろちょろと水が出ている蛇口に試験管を近づけ、狙った量が入ったところですかさず蛇口をひねって水を止めるのは簡単です。しかし勢い良く出ていると...なかなかちょうど良いところで止めるのは難しいでしょう?

フロートのニードル開閉を制御する性能は当然変化しないわけですから...ニードルバルブの開け閉めが頻繁に行われている低中回転で、燃面が狙った高さより瞬間的に高くなってしまう可能性が有ります。極端に言えば高回転ではニードルは空きっぱなしですから、高回転で起きてくる問題は無いでしょうね。
燃面の狂いはガスの吐き出し量の変化に直結します。だからこそ燃圧に気を使うわけです。燃圧が一定しなければ燃面は変化してしまいますからね(余談として、レギュレーターを使用せずにキャブ2基にポンプからの配管を直接直列で繋ぎ、キャブで行き止まりとせずにリターンへと繋いでいる車もありますが...燃圧の変化が大きいことからお勧めできない方法です)。

ニードルを交換し、違いを見るためにあえてジェット類はそのままにして試走に出ます。

残念ながら高回転での薄化には劇的な変化は有りませんでした。その代わり...予想通り中回転での空燃比がバラツキ出しました(涙)。

今まで全開チェックでの空燃比はきっちり再現性があったのですが、どの回転数からどのくらいのスロットル開度で踏み込むのか、で空燃比が変わってきます。街中を流しているときも空燃比がふらふらします。実走上ではその空燃比の変化を感じることは無いのですが、嫌な傾向です。

すっかり悩んでしまいました。

高回転の薄化が完全に抑えられなくても、せめて3速で13位までに改善できれば、色々とセッティングでごまかす手は有るのですが、まだセッティングでどうなる次元ではなく、いまだセットアップ段階。

何が間違っているのだろう。

某キャブパーツで有名なお店にニードルを注文した際にお店の人に言われた言葉が蘇ります。『ニードル弄る前に燃料配管を太くしないと無駄ですよ』『うちでは4AG、4Aなど排気量が少ない車でも初めに引き直しますよ』

しかし、レギュレーターからの十分な吐き出し量を考えると、どうしてもこの某店の言葉は信じられず、反対を押し切って更にニードルを拡大してみることにしました。ニードル=3000円/1個、で失敗してもそれほど痛くないですが、燃料ライン引き直しとなると掛かるお金も労力も結構なものになりますので、先にニードルを試してもバチは当たりませんよね。
ニードル=2.3(これで最大らしい)をインストールしました。

多分無駄だろうなぁ、と思いつつニードル変更作業実施。試走したときの「何も変わらない...」ガッカリ度を少しでも少なくするため(笑)中回転までのガスの吐き出しを絞ります。
パイロットを75→60へ、メインを250→220へ、ジェットブロックを亀有レーシングからOAへ、それぞれ変更しました。

梅雨の夜の闇の中、雨の上がった時を狙って再々度試走に出ます。

続く...

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