50φセッティング 5

燃料配管の見直しで改善が見られた、と言うことは、以前キャブ手前までは2.8L/min来ているから足りているはず、というテストに間違いがあったと言うことを示します。
既に十分量が来ていたのなら、レギュレーター上流を弄って改善が有るはずは無いのですから。

もう一度このテストを考え直してみます。

キャブのガス入り口フューエルパイプ内径はボディー側ガスライン内径に対し絞られています。またニードルの写真を見ていただければ分かりますが、フューエルパイプ内径に対しニードルの穴の入り口内径はさらに小さく絞られています。ニードル内部には弁構造もあり、フロート直前でかなりの圧損が有るのは間違いないです。当然流量面ではマイナスですが、圧損を作らないとオーバーフローするから絞ってあるのですね。フロートの浮力だけで0.3キロ強の圧で流れてくるガスを締め切るのは無理なのです。
だから断面積を絞って圧損を作り、キャブ内で減圧する構造になっているのです。

ポンプから送られたガスはレギュレーター内部でキャブとリターンの2本に分かれます。
テスト時には、レギュレーターからキャブへのホースを外して吐出量を測りましたので、解放端となっており管路抵抗は有りません。
もう一方のリターンパイプ。現実のセットアップは別として、概念的にはリターン側配管は抵抗となってはいけず、レギュレーターを解放した際にほぼ燃圧がゼロになるべき(解放端となるべき)と考えています。しかし、現実的にはロードスターの外径8mmのパイプが生み出す管路抵抗により内圧は上がります(だからレギュレーターを使わず、IN、キャブ2基、リターンを直列に繋いだ理論上燃圧の出ないはずの配管であっても、キャブにある程度の燃料は入るわけですね)。
下の画像はノーマルフューエルポンプのOUTとリターンをタンク上部で直結して燃圧を測定したものです。この状態だと戻り側の抵抗がほとんど無いので燃圧はほぼゼロになります。

ちょっと見えにくいですし、この燃圧計が低圧をちゃんと測れるのか? という疑問も有りますが少なくとも0.05以上の燃圧では無いのがわかります。

実験時には実際の運転状態と同様に、レギュレーター内部のリターン入り口に蓋が付き、スプリングで押さえられていました。ニードルバルブ(とキャブ入り口のフューエルパイプ内径の)絞りが無くなっていた一方で、リターン側の抵抗はそのままだったのです。つまりテスト時にはリターンされていたガスはほとんど無かっただろう、と考えられます。
2.8L、とはポンプから送られたガスが、管路抵抗に打ち勝ってエンジンルームに送られた量であり、ポンプの吐き出しとの差を取れば、それが管路抵抗によって減少した分、と言うことになります。
しかしキャブ入り口にはニードルバルブ等による抵抗が存在しますから、2.8L=キャブに入る量ではないんです。

キャブ側の絞りがあると抵抗のあるリターン側にもガスが流れ、キャブ内に2.8L全てが入らなくなるのでしょう。
興味のある人はニードルバルブ部で吐き出し量を測定すると良いです。

リターン側に流れてしまう現象をクリアするには、リターンを閉じれば良い(当たり前)のですが、しかしそれではオーバーフローしてしまいます(笑
0.3〜0.4キロ以上の圧を掛けられない、逆に言うと掛けなくても十分な量を送る...といえば、昔ながらのキャブ用電磁ポンプが手っ取り早い、というかそれしか思いつきませんでした。IJ用ポンプの2.8Lという吐き出し量は、あくまでも「@燃圧3キロ」という条件での話しです。リターンさせて圧を下げるとスチール現象が起き、流路を絞ることで圧を下げるには、元の圧が高いために大きく絞らざるを得ず、どちらにしてもキャブに入る流量は減ってしまうのですね。

モノによりますが、キャブ用電磁ポンプは最大圧がせいぜい0.45程度しかなく、それ以上では動きが勝手に止まります。ミツバの電磁ポンプの音を聞いたことがある人も多いでしょうが、エンジン始動時を思い出して下さい。IGオンで「つつつつつつつっっっ.....(しーん)」とポンプの音が途切れますよね。フロートが一杯になってニードルが締め切られるとホース内圧が上がり、それ以上ガスを送れなくなって動きが止まるのです(当然IJ用のポンプにリターンを掛けて燃圧を出している場合は(フロートが満たされた時点で音質が若干変化しますが)止まりません)。
これならリターンを掛けなくてもオーバーフローする事はないですし、セッティングとしての圧調整のために絞りを入れる(低圧用レギュレーターの構造は「絞り」)にしても、IJポンプに比べ絞り率は僅かで済みます。

と言うことで次の燃料供給不足対策は「燃ポン掛け替え」です。
ノーマルのIJ用でエンジンルームまで送ってしまわず、低燃圧でそこそこの吐出量のキャブ用電磁ポンプを掛けて送り、エンジンルームからのリターンを廃止します。ちなみに電磁ポンプの欠点は脈動です。とうとうと流れるIJ用に対し、電磁ポンプはドクドクッって感じ(うわぁ♪)

昔から有る定番はミツバのポンプ。作動音が結構格好良いんですよね。
ミツバで構わないのでしょうが人と同じが嫌なので他を探します(笑
キャブ用強化ポンプとして定番なのがホーリー。最大吐出4.226L、おお素敵♪しかしそのままでは燃圧が高く、レギュレーター必須です。これでは考察に反してしまいますから駄目です。
今回チョイスしたのはニスモ燃料ポンプ。最大吐出量1.3L/min、最大燃圧0.45。
当然最大吐出1.3Lでは”1928”搭載時点で足りない可能性大ですので、2基を並列で掛ける訳です。これで圧を上げずに吐出だけが増えます。メーカー系に今時キャブパーツの新品が有るのだろうか? と思いながらニスモに問い合わせたらちゃんとメーカー在庫が有りました。ちょっとビックリ。日産部販で取り寄せられるので値引きまで有りました。

トランクルーム左右奥の方(ガソリンタンクの脇)にデッドスペースがありますのでここに設置します。
ノーマルポンプからの送りをタンク上部でリターンに直結、燃圧を無くした状態から2本に分岐させて、それぞれニスポンに繋ぎます。

ノーマルのポンプの最大吐出が2.8L以上であることは確認済ですから、ニスポン2基掛けの吐出量を上回っていますので、IJポンプを殺す必要は無いと考えました。フューエルポンプは吐く力は強いのですが吸う力が弱いので、ポンプ前の配管は少しでも短くしたいものです。
しかし実際のポンプの設置では悩みまくりました。場所はガソリンタンクの左右=トランクの左右奥に置こうとは思っていたのですが、固定の方法が見つかりません。フロアに穴を開けても良かったのですが、丁度フレームが袋になっている上なので、下から防錆処理をすることが出来ません。


さんざん悩んだ挙句、リアトレイの蓋(幌の収納部下)をカットして取り付け、そこに吊るすことにしました。画像は蓋を裏返したところです。配管は元々フューエルポンプの配線の通っていた穴を使用しました。


蓋をボディーに合わせるとこんな感じになります。

とりあえずレギュレーター無しにしましたので、エンジンルームの配管はシンプルになります(先日追加した配管は不必要になりました)。実測した燃圧次第では若干落とす必要も出てきますが、カタログどおりなら0.45以上になることは無いので、配管抵抗を考えるとそのままでも...いける...かな?(笑

使わない高圧レギュレーターがまだついてますが、一見「純正ポンプでレギュレーター無し」配管に見えてしまうのが面白いところです。実際にはリターン側からも送られてきているわけですね。

おまけ:キャブキットに付属してくるゴムのガソリンホースはあっという間にひび割れてしまう粗悪なモノが多いです。そこでアールズで引き直すのが定番ですがトランクルーム内にステンメッシュを使うのはもったいないし、堅いので取り回しも大変、グラインダーでいちいち切るのも面倒くさいですよね。
そこでチョイスしたのが純正のガスホースです。純正ホースなら10年経っても平気です。ただ車種別になっているので長さと太さが分かりにくいんですね。私が使ったのは(成り行きで)日産純正 品番=A8742−20020(QTY1)です。長さ=3M弱、内径8ミリ(細く見えますが大丈夫)です。流石にお値段はキャブパーツ屋さんで買うより高かったですよ。

50φセッティング 6へ

TOPへ










      
inserted by FC2 system