50φセッティング 6

(かなりの試行錯誤を繰り返しました。具体的なテスト結果(空燃比やジェット番数など)については省略させて頂いて、最終的に行き着いた考え方だけを大ざっぱに纏めて行きます。ご了承ください。)

これまで高ギヤ、高回転における燃調の薄化の原因を、燃料輸送系と考え改造してきました。ここまでの改造の結果、おおよそ高回転の燃調の薄化は改善したかに思えました...が。
メインジェット220を使用して4速でもブローの心配の無い空燃比を示し...てくれるときもあるのですが、44の時のようにスッキリとした再現性が出ません。この再現性の無さに大変悩みました。
2速→3速→4速、と上げていくと4速で薄くなります。
4速ホールドで低回転から踏んでいけば高回転でも薄くなりません...いやそれでも薄くなる時も有りました。
ポンプがところどころでサボっているのでしょうか?(笑)

色んな事を考えました。
●そもそも50φは私のBPハイコンプエンジンの吸入空気量に対してオーバーキャパシティーです。
●メインジェットは250までしかなくて、Lのフルチューンでもそれで足りています。
●220という番手でも薄いときがありますが、220で足りないほどのパワーが出ている様にはとても思えません。
●そもそもメインジェットを変更することで空燃比を動かすことが出来ません。大きくしても濃くならないようです。
●燃料供給系をキャブ側から段々と拡大していきました。これは確かに濃くする効果がありました。
 例えばパイピングを太いアールズで引きなおすなどして、さらに拡大する必要があるのでしょうか?
●そしてもっとも悩ましいのが「同じセットでも薄い時と逆に濃いときが有る=再現性が無い」ことです。

正直言って参ってしまいました。考えてテストを実行しても思うようにならないなら、セットを弄らずに乗り込んで何かを感じていくしかないな、と思いました。

どういうときに薄くてどういうときに濃いのでしょうか?
それを見極めたいと思いました。
まず中回転域が常時濃いのは間違いありません。つけた初っ端から「街乗りで乗りやすい」と言って来たように、44φビッグベンチュリーがガスが入らないことで起こしたような息ツキは出ませんでした。この辺りは口径が大きく流速が立たないはずなのに、不思議なくらいガスが入っていました。ニードル拡大によりさらにガスの入りは多くなり、今では逆に濃すぎる傾向を示し、夏場の熱さも加わってカブリによる息ツキが出るようになっていました。
ここを絞るためにニードルを絞りました。2.3まで拡大したニードルですが、2.0に一つ落とします。そもそも燃料輸送系が十分であれば、2.3が必要な筈が無い、と思っていました(1.8で足りる可能性も大)。
これで街乗りのかぶりはかなり改善しました。街乗りでかぶっているエンジンがサーキットの横Gの中で息ツキを起こさない訳は無いので、この辺りの改善はドライバビリティーにも直結します(薄い分にはまだしも加速ポンプを上手く使って走らる事が可能です)。

ふと加速ポンプが気になりました。
燃料供給に対し加速ポンプがでかすぎて、加速ポンプが吐き切った直後、一時的に燃面が下がってしまっているのではないか?と思いました。
もちろん、これが高ギヤ高回転での薄化の原因なら加速ポンプを弄る前に燃料供給を増やす事を考えなくてはいけないのですが、少しでも改善が見られるならやってみたいところです。
加速ポンプの総吐出し量を変えるにはダイアフラムの動く量を変えれば良いです。つまりポンプロッドのポンプレバーへの固定位置を上下させれば良いです。キャブ単体で無いとちょっとやりにくいでしょうね。

やりにくいので後回しにしているうちに(爆笑)ふと思いました。
2速=吹けきるまでの時間が短い
4速=吹けきるまでの時間が長い
キャブの場合、何速だろうが関係なく一回のスロットルワークにおける、加速ポンプの吐出し量は一緒です。
IJの加速増量補正とは訳が違います。

部品構成を見ていると、50φも44φも加速ポンプダイヤフラム品番は同じ...ロッド固定位置の問題があるので吐出し量が同じとは限りませんが...もし同じだったとしたら...

何故50φは(よりベンチュリー径の小さい44φでは入らなかったのに)中回転でガスが入るのか?。
この理由を「絞り方の違いによる流速分布の違いと、ポンプの吐き出し方の違いによる霧化の違い」と考えていたのですが(今でもその可能性を否定していません)、それだけではなくポンプジェットがやたらでかいのが原因ではないか?と思い始めました。
 # 注:私の空燃比計はO2センサーを使用するタイプです。
そうなればポンプジェットを絞りたいところです。以前X−MEN氏(B6+WEBER50φ)が「加速ポンプを絞った方が息の長い加速が得られた」と話されていた事が思い出されます。
ですが、ソレックス50φには加速ポンプジェット(=ベンチュリー内に頭が突き出しポンプノズルになっている)がありません。吐き出しはインナーベンチュリーから行われる構造で(これが霧化に効いて来る気がしてます)絞り方はインナーベンチュリーに空いた穴の大きさで決まります。んでインナーベンチュリーのお値段=3000円/1個也。うげっ。セッティングパーツなのに...高いですね。

試してみるならスロットルの動かし方を変えれば良いのです。44φでは流速が立たなくジェットからガスが入ら無いのをポンプで補うため、一度大きく踏み込んで息ツキ領域を乗り切り、回転が上がって流速が立ったところで戻して、再度踏みなおしていく、という踏み方。
50φだとこの踏み方では中回転で入るガスが多すぎるのかもしれません。そういえば、高ギヤで「薄い」と感じた瞬間にアクセルをパーシャルに戻しており、我慢して踏みつづけることはありませんでした。高回転になって流速が立ってからの空燃比はどうなってるんでしょう?
空燃比計を見ながら踏んでいきます。中回転域からあえて4速でフルに踏み込んで加速すると、踏んだ瞬間10くらいの濃い値を示してきます。そこですかさず少し戻してポンプの吐きを抑えます。踏み方で空燃比が12〜13になるようにポンプの吐きをコントロールします。踏みすぎないように我慢しながら回転が上がっていくのを待ちます。何とか最薄13くらいで耐えています...いった、いきました。8000まで13より薄くなることなく回りきりました!

これは再現性がありました。

回転上昇の速い2速なら問題なく吹けて行けたのでしょうが、遅い4速ではポンプが吐く時間が足りなかったのだろうと思いました。
4速ホールドでだと薄くならずにすんだのは...4速中回転から4スロを全開にする人は居ないやね(笑
下のギアからポンポンとシフトアップしていく時にはどうしてもいきなり全開に踏んでます。
高速道路で5速ホールドで追い越し車線に出るときにはやっぱりゆっくり踏み込んでます。

つまりポンプの吐きを絞ればもうすこし気兼ねなく踏めそうです。

しかしまだ薄い。13より濃くもしてみたいです。
ジェット変更に反応してくれなかったのは、燃料供給の問題と、流速の立たない領域が50φでも当然存在する、というのを街乗りのしやすさに騙されて(笑)すっかり忘れていたことが主な原因だったと思うのですが、それだけではまだ自分自身納得できないんです。まだ何かが噛んでいそうなのです。

弄ってないのはエアジェット。
デフォルトの200から動かしていません。44φの経験からメインエアジェットで変わるのは最後の1000回転位の吹け方。弄っても速さ的にあまり変化はないし、まして空燃比計でどうこう、という世界では無いと思ってセッティングの領域まで入れるまで放っておいていました。

メインエアは小さいのがあるのでせっかくですから絞っちゃいましょう。
持っている中で一番小さいのが170でした。これを入れました。で、ふとジェットブロックってどんな構造だったかなと、思って改めて観察しました。

前にも見て頂いた写真で恐縮です。ジェットブロック比較です。真中の長いのは44φ50φ共通の亀有ジェットブロックです。その左が50φ用、右が44φ用です。
ガスは下に付くメインジェットで、エアは上に付くメインエアジェットで、それぞれ計量されてジェットブロック内部を通り...ジェットブロックの中腹から吹き出し混合されます。
各ジェッブロックの大きな違いは中腹の穴形状です。亀有のジェットブロックはエアの噴出し穴数が多く、広く分布していてプレ霧化に気を遣っているのが分かります。私はここまで基本的に亀有を使用していました。
で、分かりにくいですが、44φと50φ用の大きな違いはエアの吹き出し穴の大きさです。
50φ用の方がエアの穴が小さいのです。つまり50φのデフォルトセットは、ジェットがメインに対して小さいだけではなく、ジェットブロックでもエアを絞っているのです。
対して私の使用していた亀有はどうか?といえば、なんとまぁエア穴の多いこと...

当然、50φデフォルトに変更します。
これで高回転域がきっちり濃くできるようになりました。ジェットブロックで空燃比が変化したというより、メインジェット変更の結果が素直に出るようになりました。やっと出ました>高回転で濃すぎる症状@240のメイン!

ウェーバーであれほどしつこく言われているエマルジョンチューブ(ソレックスでいうジェットブロック)の種類による霧化の違いを「私には関係無い話」と思っていた自分が情けないです(^_^;

 

セットアップに関してはこんなところでOKとしても良いので無いでしょうか?
44φに対してのビハインドは無くなったと思います。そして中回転域のドライバビリティーに関しての優位性は明らかにあります。
ただし...全開のアクセルコントロールにはいまだ気を遣う状態です。
ここからは理屈がわかった上での確信できるセッティング。
楽しませてもらいましょう。

 

これにて50φのセッティング、終了です。お付き合いありがとうございました!

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