チューニングするということ
タコアシ、マフラー、エアクリーナー・・・といった補機類
ハイカム、ハイコンプ,ポート研磨,ビッグバルブ・・・これらに代表されるメカ チューン
キャブ、燃調、点火時期、バルタイ、ロム・・・セッティング

NAのチューニングを考える人なら思わず心躍るいい響きの言葉です。思うよう な車を創りたい!そう思う人たちに私の経験を紹介していきます。

車はユーノスロードスター(NA8C BPエンジン)キャブチューンです。今はキャ ブのロードスターも増えました。次のステップに進みたい人も多いと思います。思い つくまま書いてゆきますので参考になれば嬉しいです。

まず基本的な私のスタンスをご理解ください。私の理想は何より楽しい車である、 という事です。必ずしもベストでないことを感じつつ、それで良しとしている部分が あります。

キャブについて

キャブにすると速くなるのか?という素朴な疑問。そもそも キャブは燃調をマネージメントするためのツールです。そしてその制御性能はIJに はかなわないのです。安定性、制御の細かさ、条件変化への順応性、どれをとってもキ ャブはIJには勝てません。

しかしキャブにするといわゆるぽん付けキャブの状態でも、1600,1800の どちらも(キャブセッティングがきちんとできれば)ノーマルのロードスターに対 して速くなる可能性があります。私の知っているロードスターのキャブ車は みんな速くなりました。

キャブにした場合の最初に困ることの一番はアイドリングです。何故きれいにアイ ドリングしないのか?

1:バタフライの開度が一定でない。
キャブ自体の問題〜スロットルシャフトのよじれ、もしくはアイドルアジャストス クリューの調整ミス。

2:点火時期のずれ=遅い
1600でエアフロ全開にして点火時期マップの吸入空気量最大のところを読ませ た場合、アイドリングではATDC2度位になる筈。逆に早くするとアイドリングは高 くなります。1度でも違えば明らかにアイドリングは変化します。ノーマルの規定値 はBTDC10度です。

3:燃圧・油面の狂い
燃圧は0.3、油面はソレックス44の規定値では19〜20ミリくらいです。が、 両者は関連をもっていて、燃圧を上げたい場合は油面を下げることでオーバーフロ ーに対処します。オーバーフローしなければ燃圧は高いほうがいいのです。オーバ ーフローは論外として、アイドリングに関係するのは2個のキャブの油面のずれで す。加速ポンプ系をのぞき、キャブのガス供給はあらかじめ空気と混ぜ合わされた 濃い混合気の形でなされるため、油面が変わればこの濃い混合気の濃さが変わりま す。また油面を下げすぎると縦Gや、特にソレックスはウェーバーに比べて横Gによる油面の偏りによるガス欠がおきやすいです。

4:パイロットスクリューの調整ミス
これが一番難しいところなのですが、実は、まずとにかくアイドリングさせたい!と いうだけならあまり悩まなくてOKです。締めこんで(あまり強く閉めるとスクリュ ーの先のテーパーが段付します。まあ、段がついても十分使えますが同じだけ戻し てもばらつきが出てしまうことになります)すべて1.5回転戻せばいいだけです。 さらに煮詰めるならもう少し経験が必要です。それは後述します。

具体的な同調を取る手順について書きます。

1:ロッドをはずしリンケージの押し棒も緩めておきます。

2:バタフライの0位置をだします。アイドルアジャストスクリューとスロットル レバーの間に紙切れでもはさんで、紙を引いたり押したりしながらスクリューを回 し、その固さで調整します。2個のキャブが同じになるようにします。

3:ロッドを取り付けます。ロッドの長さは完全に同じにします。リンケージの押 し棒を、上に軽く持ち上げつつリンケージシャフトに締めつけます。押し棒の前後 位置にも気を使い、ロッドがキャブに直角、かつ2本のロッドが平行になるように します。

これで、リンケージ上で2個のキャブのバタフライは全閉から全開まで同時に動 くことになります。

4:アイドルアジャストスクリューをとりあえず両方とも1.5回転締め込み、バタ フライを開けてやります。

5:パイロットアジャストスクリューをとりあえずすべて1.5回転戻しにします。
   この状態でエンジンを始動します。ガスがフロート室にあればあっさりかかるは ず。回転数は1500から2000くらいかな?

6:エアフローメーターでみて、2個のキャブが同じくらいの空気を吸うように、 アイドルアジャストスクリューを調整します。(ここで ? と思う人もいるかも しれません。リンケージで繋がっているのなら片方を締めればもうひとつも一緒に 動くのでは・・・でもリンケージはロッドにより違いますが、かなりがたがあるので少 しならずれをつくれます)。この状態で押し棒を固定する人もいますが、私はスロッ トルが開いたときのバタフライの開きが同じになることの方を重視してこの方法を とっています。ブレーキマスター脇のプロポーショニングバルブが邪魔して4番が測れない場合には、1・2番の平均と3番 が同じになるようにします。

7:2個のアイドルアジャストスクリューを同じだけ回して、アイドリングを15 00回転ぐらいにします。

8:パイロットスクリューを1つづつ左右に90度回しながら、アイドリングが少 しでも高くなる位置を探します。ここが難しいのです。微妙な差を集中して見極め ます。しかも中には開ければ開けるほどアイドリングがあがるスクリューもあった りします。そんなときはそいつを後回しにして他を決め、大体他と同じくらいの戻し か45度多いくらいにしてやります。バランスを重要視するわけです。また時々吹 かしてかぶらせないようにします。どれかのプラグがかぶるとエンジンはばらつい てしまい、セッティングどころではありません。ここらへんはホント経験がものを いいますが、アイドリングはともかく走るとそれほどの大きな差は出ませんし、何 度もやるうち自分の車だけは癖が分かって出来るようになりますよ。

9:アイドルアジャストスクリューを同じだけ戻し回転数を合わせます。ここでも う一度エアフローメーターを使って微調整するのも良いでしょう。

10:メモを取りスクリューの戻し量と2個のアイドルアジャストスクリューの向 きを記録します。結構スクリューは振動でずれるし、後々参考にもなりますよ。  基本的にスロットルは出来るだけ閉める、パイロットの混合気は絞れるなら絞 る、と覚えておいてください。

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