究極のキャブセッティング

GWに北海道の実家に帰省したついでにMBW弟号のキャブセッティングを行いました。あらためて今キャブをいじると色々と見えてくるものがありました。数値で見るキャブの緻密さ、セッティングのしやすさと、適合が出た後の緊張感あるフィールに感動しました。

弟号のエンジン仕様はBP-ZEにマツダスピードピストンを入れて圧縮を11に上げ、マルハ264°カムをIN、EXとも使用したノーマルボアのハイカムハイコンプ。これをソレックス44φとhideロムで制御しています。


室内の風景はこんな感じ。例によってNEKO空燃比計センサーをRS☆Rタコアシに装着。予定通りITCも追加しておいてくれていましたので点火時期もいじれます。一度使ったらITCは本当に便利で手放せないアイテムですよ。見た目も格好良いですし。
高精度の空燃比計を使ってキャブのセッティングを行うのは初めてであり、ジェットの番手ひとつでどれくらいA/Fが変化するものかなど、非常に興味深い作業でした。

最終的なセッティング結果は
アウターベンチュリー 39φ
パイロットジェット #55
メインジェット #165
メインエアジェット #210
ポンプジェット ノーマル
これが自信を持って言えるこのエンジンの完璧なジェットセッティングです。このジェッティングで狙っている空燃比は街乗り(ノーマルECUでフィードバックが掛かっている領域)で13、踏んで12少し過ぎです。
弟号には久しぶりに乗ったのですが、オーナーが時間をたっぷり掛けて丁寧にアジャストスクリューとキャブ同士のバタフライ同調を取る努力をしただけの事はあり、大径ベンチュリーにありがちな街乗りでの乗りづらさもなく、初めからかなり気持ちのいいセッティングが出ていました。この状態でのA/Fはパイロットジェットの支配領域で平均13と、数値上でも特に問題なし(やるじゃん)。しかし3速全開のA/Fは4000過ぎたところでいきなり14オーバー!・・・うーん(^_^;;;;; これ見てしまうと踏む気になれない・・・のでそれ以上の数値は不明。高回転になると排気音に乾いた感じがあった記憶がある・・・らしいのですが、そりゃそうでしょう。「去年の夏から3速踏んでないので自信無い」と本人も認めていました。街乗りではメインは薄いほうがかぶりも無く、全体的に調子良い感じが出しやすくなりますからね。

※以下、全てのセッティングは3速で行っています。
当然まずメインジェットを上げてみることにして、#155をいきなり少し大き目の#170に変更しました。#170は二人でこのエンジンを組んだ当時、経験から勘で選んだジェットであり、どういう結果になるか興味がありました。しかしこれで走るとA/Fは4500rpm位から11前後といきなり濃く、上まで踏む価値無しと早々にチェック終了となりました(^^;。ただ、メインの変更がきっちりA/Fの変化に繋がる事から、4つのバタフライ位置や油面といった、ジェットセッティング以前の問題は無い事が確認できました。ソレックスのバタフライの同調は新品でもそれほど信用できず、たて付けの微調整が必要なケースが多いです。買ってそのまま使えている弟号のソレックスは「当たり」です。
次に試したのは#165。これで6500rpmまでは12過ぎとおおよそ適合して来ましたが、7000手前から11強と濃くなります。メインを#160とするとせっかく適合している部分が崩れると考え、メインはそのままでエアジェットを変更することにしました。メインジェット受け持ち領域の高回転部で効くはずなので合目的なのですが、経験上エアジェット変更の結果をそれほど明確に体感できたことはなく、どの程度空燃比が変化するものか半信半疑でした。とりあえず#200から手持ちで一番大きな#240に変更しました。
#240で走ると上の上どころか4000過ぎから薄化傾向となり、4000以上で13前後に変化してしまい6000手前でテスト終了。エアジェットの変更がまさかこれほど広い範囲で大きく影響するとはびっくりでした。そこで今度はエアジェットを#220に変更。これで見事に4000以上〜トップエンドまでメイン領域はほぼ12.5になりました・・・が一瞬「12.8」といった数値が出るのが少し気になります。一定の傾向で薄化/濃化する訳ではないので、ジェットセッティングの問題ではなくキャブ独特の「振れ」。
#210に変更してみたところ予定通りメインジェット領域が全体的に少しだけ濃くなり12〜12.5の間で推移するようになりました。ただ、#210と#220で走行フィーリングは全く変化なかったので、迷ったのですが最終的には#210を選択しました。

さらにパイロット領域のA/Fも平均13から13.5にしてみることにしました。パイロットジェットを#55から#52.5にするとおそらく薄くなりすぎると考え、試しにパイロットアジャストスクリューを絞ってみることにしました。90°も絞れば大きく調子が変わり、アイドリングにも変化が出る のを知っているので、わずかにマイナスドライバーの刃の厚み一枚分だけ絞ってみました。

元に戻せるように、いじる前にアジャストスクリューの写真を撮っておきました。


この程度の変更が空燃比計に明確に出るかどうかは怪しく、またアジャストスクリューの守備範囲自体はほぼアイドル領域のみ、それ以上の変化は無いだろうと考えていたのですが・・・なんとパイロットの領域全てが薄化、平均13.5と狙い通りに変化してまたまたびっくり。
ところが狙い通りの空燃比になったはずが、実走してみるとどこか感じ悪くてどうも余計な事をしてしまったような(-_-;


これはMoTeC制御の私のエンジン(1974cc 288-288)のA/F値ログ。インジェクションでもスロットルポジション制御(空燃比フィードバック無し)ではこれだけ大きくA/F値がバラつきキャブのレベルと大差ないです。キャブだとこのバラつきが時に息つきという症状に出るのが、インジェクションだとそこまではっきり出ない、というだけの違いです。
例えばこのログでは1500rpmあたりで空燃比が薄くなっていますが、これは別に私がガソリンをケチっているわけではなく(笑)、増量しても吹き返して思うように入らないのです。乗るとここで一瞬待つ感じがありますが、これがキャブだと時に息つきにつながりやすいのです。
インジェクションなら街乗り領域の目標空燃比で14〜14.5の間を狙っていけますが、キャブではもう少しだけ濃い目を狙わないと、薄く出た際に加速に息つきが出るようになってしまいます。
すぐにアジャストスクリューを元に戻したところ、ほぼ元の調子と空燃比に戻ったのですが・・・スクリューをいじる前との違いが、ふとした拍子にNEKOと走った感触に出ました。空燃比の平均は元と同じなものの、ばらつきが僅かに大きくなり、その差が軽い息つきとして走行感にはっきり出てしまいました。
どれほどパイロットアジャストスクリューのセッティングがシビア、かつフィーリングの最終的な詰めを行う上で重要かを思い知り、弟にまた時間を掛けて微調整するよう頼みました。こればっかりはオーナーには勝てませんね。

セッティング作業自体に掛けた時間はわずか半日だけですが得たものは実に多かったです。
セッティングが出た後、楽しくて弟号であちこち走ってみたのですが、吸気温度が様々に変化しても、意外にもソレックスは実走フィーリングではまずネガが分からないほど適合していました。
インジェクションなら常時狙った適合が再現できる、というのは(少なくともスロットルポジション制御アクセル開度75%以下においては)幻想であり、ある程度のバラつきが出ます。BP-ZEはインテークポートに欠点を抱えており、B6に比べて回りたがりません。高回転の好フィールを得ようと思うと少し大き目のカム開度が欲しくなります。組みたいエンジン仕様があって、それがエアフロへの吸気吹き返しの影響を受けて適合が出せないのであれば・・・。やはりキャブは十分選択肢の一つとなりうるとあらためて今回実感しています。

キャブセッティングは「濃い目を良しとする」
キャブセッティングは「一期一会」

この言葉の本当の意味、やっと今になって分かりました。
濃い目は単なるマージンじゃありません。
一期一会は安定性の低さの意味じゃありません。

おまけ:
アイドリングでITCをいじってBTDC10°から25°まで変化させてみたのですが、A/F値に変化無し。点火時期のセッティングはおそらくA/Fには影響を与えないと思われます。



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