TOP -週末の楽しみ〜ROADSTER SIDE〜その弐

インジェクションタイミング変更

バルタイ変更によって踏み始めのツキの問題はクリアしたものの、空ぶかしとなると相変わらずごく低い回転からはいまいち綺麗に吹けてくれませんでした。ある程度回ってしまえば問題ないのでサーキットでは全く不具合は無いのですけど、街乗りでのヒールアンドトゥが楽しくありませんでした(街乗りでやるなって話もありますがw)。

さほど気にならないし、他のスロポジ制御の車でも見受けられる症状だったので半ばあきらめていたのですが、ちゃけさんが日記でMoTeCのインジェクションタイミング変更の効果について書かれているのを読んで興味を持ちました。これまでMoTeCのデフォルト設定のままにしていたのですが、せっかくシーケンシャルインジェクションなのですから積極的に弄ってやる事に。


これがMoTeCデフォルト設定。負荷軸なしで回転数でのみ変化していきます。数字は燃料噴射終了時の角度(点火時期と同じく圧縮上死点前〇°)を表しており、問題のアイドリング域〜低回転ではBTDC120°〜140°となっています。

と数字だけ示されてもどうもイメージが掴めないので・・・


おなじみバルタイダイアグラムを描いて考えてみました。
カムはIN、EXとも288°を中心角104°で組んでいます。吸気バルブは排気上死点前40°で開き、上死点後104°で最大リフトし、下死点後68°で閉じます。排気バルブは上死点を40°過ぎたところで閉じますので、オーバーラップは80°です。

1000rpmでのMoTeCデフォルト設定は圧縮上死点前120°ですから、「」で示した所で燃料噴射終了。つまり吸気バルブが閉じる寸前に噴射を完了するイメージ。
ちなみに今使用しているマップでGT-R用440ccインジェクタだとアイドリングでの開弁時間はたった1.2msec(開弁率1%)です。
1500rpmでクランク1回転に掛かる時間=60,000msec÷1500rpm=40msec
噴射時間をクランク角度で表すと=1.2msec÷40msec×360°=18°
BTDC138°〜120°の間、開弁しているということになりますね。
同様に、
2500rpmでスロットル開度10%の噴射時間は2.4msecでしたので、
2500rpmでクランク1回転に掛かる時間=60,000msec÷2500rpm=24msec
噴射時間をクランク角度で表すと=2.4msec÷24msec×360°=36°
こちらはBTDC156°〜120°の間、開弁しているということになります。

噴射タイミングを早めると数字が大きくなり、例えば圧縮上死点前370°とすると、「」の位置=バルブが少し開いた時点で燃料噴射完了することになりますね。

一見バルブが開いている間に噴射した方が効率的に燃焼室にガソリンを届けられるように思えるのですが・・・
インジェクターの噴射時期について、Auto Works別冊トータルバランス快速チューンvol.1で少し触れられており「吸気バルブが最大リフトしている時期に燃料噴射すると燃焼の安定度が極端に悪くなる」とされています。となるとMoTeCデフォルト設定では噴射時間が長くなると最大リフト中にも噴射してしまいNGということになりますね。
気化を促進し壁流(吸気管内壁について液膜化した燃料。これが出来ると燃焼室内に入る混合気の実際の空燃比がばらつきやすくなる)を防いで混合気の空燃比を均一化するためには、吸気バルブが閉じている間に噴射してしまうのが良いらしい。

ならば、と吸気バルブが開く瞬間に燃料噴射完了するよう、400°に設定してみることにしました。
すると・・・驚きました。かなりよくなった!

レーシングだけでなく、今まで別段問題と思っていなかった部分まで良くなりました。アイドルからのいきなりのワイドスロットルオープン以外はバンバン吹けるようになりました。ノーマルウェイトのクランクでここまで吹ければ上等。実はキャブは空ぶかしは得意なのですが負けてないっす。そして排気音の繋がり感がよりいっそう出てきました。4000超えてカムに乗った状態で巡航すると本当に気持ちの良い音がします。M2販売の格安マフラーとは思えない(笑)。また巡航でのエンジン性能もアップ。低回転〜中回転でエンジンが同じ回転数にとどまらずどんどん回ろう回ろうとします。HKSタコアシのせいで出てきた2500の谷、104-104のバルタイでかなり改善したものの、まだやっぱり残ってるんですが、ここも改善し「待ち」感がほとんどなくなりました。1〜3速では意識しなければ気付かないほど。

ちゃけさん、ナイスなネタを有難う御座いました。



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