ブロックボルト穴清掃

やっとボーリングから帰ってきた1951用シリンダーブロック、3week強待ちました。今回は時間が掛かるのを承知で東名パワードに出しました。ドラさんみたいにボア径を自分で確認する事が出来ないので、時間が掛かっても技術のあるところに頼みたかったのです。
ちなみにここ、自宅の玄関です(^^;;;;


当然ダミーヘッド付きボーリングです。
うっかりしてクランクキャップとボルトを同梱し忘れ、余計な送料が発生する羽目になりました(^^; 気を付けましょう。
キャップを付けたままの状態で返送されてきました。クロスハッチに特に注文は付けなかったのですが、やけに滑らかな気がします、ホーニング済みかも知れませんね。
注意深く見ると、ボルトの頭にペイントのマーキングがあるのが分かります。


取り外したクランクキャップのボルト。ネジ山にスレッドコンパウンドが塗布されています。スレッドコンパウンドとはその名の通り、ネジ山に使用する粉。銅粉を含んだペーストです。高温下や油膜が切れそうな状態でも潤滑性を保ちますので、例えばエキゾーストのボルトに使うと焼き付きを防止できます。


ネジの座にもスレッドコンパウンドが塗布されています。

ネジの締結の際に何を塗るか、1928を組む際にも随分考えましたっけ。東名の答えはスレッドコンパウンドなのでしょうか。
ボルトは恐ろしくレートの高い引っ張りバネであり、ねじ込んで弾性変形領域で引っ張ることにより締結力を発生しています(一部の高級なボルトは塑性変形領域まで引っ張ります=軸径がネジ部より細く、使い捨て)。便宜上、締結力はトルク=ボルトを回す力で管理されています。締め込む途中でボルトが異物を噛み込んで回らなくなればその時点で回転トルクは無限大となりますが、軸力はゼロです。座が荒れていたりネジ山が汚ければ、狙った軸力は発生しないことになります。ボルトを回す力の8割はネジ山と座の摩擦で食われるそうで、残りの2割程度だけが軸を引っ張るために働くそうです。
軸力のばらつきを少なくしたいからネジに潤滑剤を塗る訳です。メーカーの整備書にもヘッドボルトやクランクキャップボルト、コンロッドボルト等は「ネジ山と座に」オイルを塗って締め込むよう指示があります。

さて、エンジンオイルではなくスレッドコンパウンドを使用するとどうなるのか?ネジ部の潤滑状態は極圧〜混合潤滑でしょうから、流体潤滑を目的にしているエンジンオイルよりスレッドコンパウンドの方が合目的に思えます。
ではスレッドコンパウンドを塗布するのが良いのか?というと・・・。整備書の整備トルクはエンジンオイルを塗布した場合を基準に書かれていますから、スレッドコンパウンドによってネジ部・座の摩擦が減った場合、同じトルクを与えても軸を引っ張る力が強くなり過ぎ、ボルトの塑性変形、部品の変形が発生します。
ハブナットのネジ部と座を潤滑して締め付けた場合、オーバートルクになりボルトが疲労破断or塑性変形し期待した軸力が得られずホイールにガタが発生し応力を受けたボルトが破断・・・大型車のトラブルで良く聞く話ですよね。整備書に記載されているトルクがDry、Wetどちらでの数値なのかはとても重要なのです。
ちなみにスレッドコンパウンドの代表格を生産しているワコーズに問い合わせたところ「ネジ部に好んで塗布するエンジニアは大勢いる。しかし座に塗るのはオーバートルクを招くので薦められない。またはみ出した場合は金属粉による悪影響がある」という返答でした。

おそらくは東名はスレッドコンパウンドを使用した場合のトルク値を、整備書のトルクとは別に(低く)設定しているものと思われます。少ないトルクで同じ軸力を与えられれば無駄に座とネジ山を荒らさずに済むので、オイルではなくスレッドコンパウンドを使用して仮組みしボーリングを行っているのでしょう。
冒頭のボルト頭のマーキング、明らかに弾性域角度法で締結する為のものです。角度と軸力の関係のデータまで取ってあるわけですから、塗り物の影響くらいは織り込み済みのはず(^^


キャップの拡大。ボルトとキャップの穴に隙間が有るのが分かります。キャップはブロックにはまりこみ横方向には完全に固定されますが、前後方向にはこの隙間分だけの遊びが出来ます。当然適当には組みません。ブロック側メタルのオイル溝がキャップ側メタルのガイドにスムーズに繋がるように位置を決め、キャップとブロックに合わせマークを付けてから組むわけです。


ピンぼけしてしまいましたが、キャップのボルト穴=MBSP取り付け部をタップでさらっている所です。ベースエンジンにはMBSPはついていませんから、このボルト穴は未使用。


カーボンのようなモノが出てくる出てくる。タップの入りがやたら渋いのでピッチが違うのかと何度も確認したほどでした。


続いてキャップボルトをタップで清掃。さすがにこちらはスムーズにタップが入ります。スレッドコンパウンドのカスが取れた程度。それでもさらう前とさらった後ではボルトの入りが全然違うんですよね。コンパウンドの重さじゃなく渋さが違います。M10×1.25。


ヘッドボルト穴もさらいます。このタップはM11×1.50。ホームセンターでは売ってません(笑)。1928の時は見つけられなくてNuMaTeCさんに借りたんですよねぇ。その後マックツールで見つけたので買っておいてありました。ブロック面を修正研磨したのでネジ穴からはゴミがどっさり出てきました。ブレーキクリーナー噴射だけだとどこまで綺麗になるか・・・、ちょっと不安ですね。どんな高級なトルクレンチを使ったところで管理できるのは回転トルクだけ、軸力を少しでも正確に管理したかったらネジ山の管理は必須です。


シリンダーが減ってきた時にピストンのスカートを囓らないように、ボアの下部を面取りしておきます。サンドペーパーでも出来るのですが、砂落としのついでに回転砥石で削りました。あえて低回転トルク型のドライバドリルを使用してのんびりとやりました。砥石がうっかり走ったら嫌だし(^^;;;


オイルフィルター取り付け部。ブロック側の穴から出てきてフィルターに入り、シャフトの真ん中からエンジン各部に行き渡っていきます。ブロックのオイル穴も一応面取り。意味はないと思いますけど、少しでも油圧が稼げますように(実はこんな事しなくてもNB2ポンプなのでしこたま油圧掛かります)。


シリンダ下部の面取りが見えてますね(^^
砂落としといってもBPは大した砂は無いんですよね。振動で落ちそうなバリを数カ所ちょいちょいと落としておしまいです。
# パンの取り付けボルト穴を掃除するの忘れてました。何故かいつもより楽だなーって思ってたんですよね(^^; シーラントのカスをタップで綺麗にさらっておきました。低トルクで締まるボルトなので、多少ゴミが付いていてもトルクと締結力の関係には影響有りません。単なるお掃除。袋になってるネジ穴にシーラントカスが残ったままボルトを締めると、将来的にシリンダーが圧迫骨折する事もあると聞くので(見たこと無いけど)。



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