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ピストン・コンロッド組み込み


過去にばらしたBPだともっと子メタルの当たりが強かったですが、キャリロコンロッドはちゃんと大端部の剛性が上がっているようで、状態は悪くないです。


しかし良く見てみると、合い口に近い部分5mm位の当たり方が違います・・・。クローズインの跡でしょうか。
350gと重めのエスコートピストン(@ピン無しリング付き。鋳造で軽いイメージ有りますが、あんまり軽くないです。戸田セミ鍛造はリング無しピストン単体で324g@台所秤)で2速8000rpm3速4速7500常用、一発8300まで回してました。
BPはストローク長いですし、キャリロでも無理があったかな・・・。
でも、マーレならエスコートより50g(強烈!)軽い300gなので、大丈夫かも知れないですね。

メタルの張りは十分ありますので、軽い力で丁寧に磨いて再使用します。アルミメタルと違って鏡面にはならず、鈍く黒っぽく光ります。
磨きながら注意深く観察すると・・・


クローズインの跡かと思われた部分には摺動痕が付いていません。つまり、擦れて減ってた訳では無く、クローズイン対策されていたメタルだったと。
いやぁ焦りましたよ(^^;;;;


ハウジングの状態。フレッチングが起きております。大端部が変形してオイルが入り、黒い筋になるんですね。
メタルはクラッシュハイトによって生まれる摩擦力でハウジングに固定されます(爪は前後方向に位置決めしているだけ)。メタル背面にはオイルは厳禁で、徹底的に脱脂してメタルをセットします。
大端部が変形してしまえばそれまで、ですが・・・(-_-


親メタルも同様です、ハウジングと合わせ面を徹底的に脱脂してからメタルを載せます。
#3だけメタルの色が違っていますが、ここだけブラックメタルです。クリアランス測定のサンプル用として最初に購入した真ん中のグレード(2.02mm厚)で、1974では使わなかったモノ。せっかくなので使ってみました(^^
未使用なのに黒くないです。測定→プラスチ除去、を繰り返したらこうなってしまいました。使う前に自慢のピラミッド構造が・・・(^^;


クランクキャップを、予め付けておいた合いマークを頼りに位置を決めて取り付けます。ボルトの潤滑のため何を使うか、出した答えがこのごく普通のオイラーです。エンジンオイルをネジ部と座に最低限の量を塗布してます。整備書通りじゃないとメーカー規定の締結トルクが採用できませんからね。
ボルトは新品を使用し(クランクキャップボルトはそんなに高くないんで新品を強くオススメします)締結トルクは中央値です。上限値ではボルトの伸びによる軸力低下が心配、下限値では万が一の座やネジ部の荒れによる摩擦増→軸力低下が心配なので。

4キロ以上のトルクで締めるボルトは1度に締めず、何度かに分けて締めます。しかしトルクレンチの設定値を、例えば0.5キロ上げて締めなおしてもボルトが回らない事は良く有ります。あまり細かく刻むとかえって正しいトルクが掛からなくなるので、本締め−2キロで締めてから、ワンストロークで本締めします。


2キロ以下のトルクでは座やネジの荒れの影響はほとんどないので、その時点でボルトの頭に印を入れ、弾性域角度法を併用して締結します。マーカーだと太くて分かりにくいので、ケガキを入れます(良く見えなかったので、画像加工しました)。
普通にトルクレンチを使用して本締めした後、印の角度を比べます。他のより回ってないボルトがあれば、それはトルクが座とネジ部に食われたということ。他のボルトと同じ角度まで締めてやることで、正規の軸力が出ます。
今回は一本だけ他より(時計で言うと)2分くらい回ってないのがありました。真面目にネジ部と座を管理してもちょっとはずれますね。


続いてピストンとコンロッドをピストンピンで結合します。普通は何て事ない作業なのですが・・・マーレのサークリップがふざけんなって位に堅い!どうやってもはまりません。ピストンに傷入いっちゃいました。
サークリップ単体で見ると理想的なのかも知れませんが、もうちょっと組む人に優しい方が結果的に良い状態に組み上がると思います(^^;;;


一人でやってたら悲しくなってきたので、すぐ近所の某お店に出かけて社長を巻き込んで組みました深夜に(^^;;;;;;;;;;;;; 写真は社長のblogのネタ用に撮られてたモノ(作業に夢中で全然気づかなかった)。


1928を組む時に破壊して改造したピストンリングコンプレッサー。


合い口の組み方。
ずらす角度が120度、180度と人により意見が少し違う合い口の組み方ですが、ピストンヘッドは左右どちらかに寄って上下してますから側圧方向に合い口がこないように。また、ピストンは真円では無いのでピン方向にも来て欲しくない、となると120度ではNGで180度ずらして組みます。んで、上下で合い口が重なるのを出来るだけ減らし、トップリング合い口をエキゾースト側から遠くにすると・・こうなります。
どうせずれますけどね(^^
せめてみんな一緒に回ってくれれば合い口が上下で揃わないですむんですが。
リングの上下はじっくりと断面形状を眺めると分かります。インサイドがテーパーになっていたり、段がついていたりします。ふむふむと見極めていたらマーレのリングにはちゃんと刻印がありました(^^;;;; 早く気づけ〜、刻印があればその面が上がお約束です。


ストレートの安リングコンプレッサ改は今回もバッチリ使えました。
4本とも一発で挿入OK。
組み付け時にはワコーズの組み付けペーストを使いました。始動まで間が空いても油膜が保持される点がオイルより安心。
モリブデン配合してると思われるので、初期馴染みには効果あるでしょうが、逆に言うと金属表面への攻撃性は気になります。その分、慣らしが少し早く終わるかも(^^;
キャリロのボルトはセットで3万ほど。新品の純正コンロッドが一台分買える金額です。眩暈しますが、軸径が6mmと異様に細くその分超軽量な設計なので、このボルトの伸びのリスク=軸力低下=クローズインのリスクを考えたら・・・ここは気合い入れて新品買います。何しろ指示されている締結トルクは、純正コンロッドより高いのはもちろん、クランクキャップボルトより上の6.23kgfで、なおかつオイルじゃなくスレッドコンパウンドを座とネジ部に使用する前提での値なのです。恐ろしく高強度のボルトなのです。
メインベアリングのF1ブラックメタル代はケチっても、このボルトは新品使いました。マルハに問い合わせたら最後の1セット!でした(あぶなかった〜)。



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