TOP -週末の楽しみ〜bug SIDE〜2 -週末の楽しみ577デュアルリリーフバルブ測定以前にデュアルリリーフバルブシステムについて解説しました。出張中にあれこれ考えていて、ふと思ったのが。 ![]() 油圧リリーフバルブでオイルクーラーへの流量をコントロールしていると、油温が高いにも関わらず油圧が高いと、リリーフバルブが開いてしまい、オイルクーラーへ流れるオイルが少なくなるのでは、という事。もしオイルポンプを大きくして圧送量が増え、結果として油圧が上昇した場合、この現象が起きて油温が上がるんじゃないか? これをtwitterに投げたらFire_Roadster丸山氏が拾ってくれて「圧が高いって事は流量が多いって訳で、余分がリリーフされるだけなんだから、油圧が同じになれば結果的にクーラの流量は同じでは?」と返してくれました。あ、確かにそうですね。ポンプを大きくして油圧が上がるのは別に問題なさそう。 しかし、ポンプが同じで、下流のリリーフバルブ(油圧コントロール用のバルブ)を締めた結果油圧が上がるのはマズいはず。上がった油圧がオイルクーラーコントロール用のバルブを開いていしまい、オイルクーラーへの流量がスティールされてしまう。 まずは手元にあるものを計測してみましょう。 短いのが油圧コントロール用、長いのがオイルクーラー流量コントロール用。それぞれ、油圧に応じてどう動いているのか。 リリーフバルブ直径はどちらも同じで、15.59mmです。 これが油穴の測定値。 長い方のピストン23.6mm、オイルクーラーコントロール用です。 短い方は17.7mmでした。 メインギャラリーの盲栓の直径測定、14.0mm。 見づらいですが、竪穴の奥にある横穴がメインギャラリー、ここが開くとオイルクーラーを介さずに直接オイルポンプからメインギャラリーにオイルが回るようになります。 こちらの写真を見ながら考えるとわかりやすい。 竪穴の蓋、どちらも同じ形。イニシャル調整ができるようになっており、購入時点ではオイルクーラーコントロール用が3.2mm締め込まれてイニシャルが増されていました。 油圧コントロール用の竪穴。 やはり横からリリーフ用の穴があけられており、こちらのプラグは8.0mm径。 スプリング荷重を測定してみます。このスプリングは柔らかいので、油圧プレスを使わなくてもボール盤で簡単に測定できました。
散布図を描いてみます。 縦軸が長さ、横軸が荷重。色がついてるのがそれぞれの開口開始から全開口までの長さ。赤が油圧コントロール用。短くて、こちらの方がスプリングレートが高いのですが、長い方はイニシャルがたっぷり掛かっているので開きだすのは短い方が先。そうじゃないと困るんですけどね。 開口開始荷重がおよそ6.5kgfほどで、計算上12kgfで全開口ですが実際にはその前の8.6kgfが掛かった時点で全密着します。 オイルクーラーコントロール用のバルブの開き出し荷重が12kgf、20kgfで全開口(そこまでスプリングを圧縮できていないので散布図から出した予測値です)。ピストン直径は同じなので、このスプリングの組み合わせだとオイルクーラーへのオイルフローがスティールされるって事はなさそうです。 リリーフバルブ直径が15.59mmなので、断面積は1.9cm~2。 油圧を計算してみると、
油圧は3.4kgf/cm~2でリリーフ開始されるんですね。ながつさんの計算によると、NA-BPポンプで4.23kgf/cm~2、NB2-BPポンプで5.38kgf/cm~2なので、それよりちょっと低い。 もう少し高くてもイイんじゃ無いかって気もするのでさらにイニシャル上げてやろうかという気になりますが、それやるとその分バネの全密着が早まって開口が減るので・・・微妙。強化スプリング使うか?まあ、スプリングは外から交換出来るので組んでしまってから考えても良いかもですね。 一方のオイルクーラーへの流れですが、こちらのバルブは6.3kgf/cm~2以下では開かないので、オイルの粘度にもよりますが、始動直後のほんのわずかな時間を除いてほとんどオイルクーラーへは常時オイルが流れている感じですかね。 こっちのイニシャルやレートを上げる必要性ってのはほとんど無いと思います。 TOPへ |