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アイドリング排気温度異常高値

Vintage_Speedのマフラーのエキパイ部分にはバンデージを巻いています。


これはオイルフィルターへのホースにダメージを与えないため。エキパイを全部覆う必要はなく、4番全部と3番の後ろ側が最低被覆できればOK。幅5cm×10mのを購入し、余ったので1番の後ろ側と2番の一部を巻きました。
新しいバンデージに熱を掛けると独特な強い匂いがするのはよく知られている通り。なのですが、それにしてもしばらく経っても匂いが消えませんでした。気になっていたのですが。


Pluginが終わって帰り支度をしながら、会場内でアイドリングしてタンクにエアを溜めていた時です。やはりあの匂いがしてきて、気になるなあと車体下を覗き込んでびっくり。
エキパイが赤く焼けていました。
会場が比較的暗かったのと、エキパイを完全に被覆していなかったので気づきました。見てしまった以上そのまま走らせる気にはなれず、その日は積載車で帰宅。


さて原因究明です。
最初に考えたのはもちろん点火時期で、遅すぎるのかなと思い再度タイミングランプで確認するもちゃんと当初セットしたイニシャル10度になっています。うーん、ちゃんとエキゾーストバルブ閉じてないのかな、とバルブカバーをはぐって見てみるも正常。プッシュロッドも手で回せるし。
Twitterに投げるとfire丸山氏とちゃけたんがレスポンスくれてそりゃ点火時期でしょと。だよねえ。

んでその晩の深夜3時、寝ている間に気づきました(笑)。セミヘミのせいです。

セミヘミだと点火を進めないといけないのは承知していて、Samba読んでるとノーマル形状の燃焼室に比べて最大進角時で4度程度進むようですが、うっかり排気温度への影響を忘れていました。エキパイが真っ赤になるという事は、混合気が完全に燃焼室を出た後に燃えている状態ですから、一般的にはATDC点火じゃないと起きない症状。それほどに2110のアイドリングでの燃焼速度は遅いという事です。

1:大人しめ、とは言え300度近いカムによる内部EGR
2:90.5φの大口径ボア
3:スキッシュがない燃焼室形状
という、悪条件が3つそろった結果、MBTはなんと35度になっていました。

MBTってのは、燃焼室圧力がもっとも効率が良いとされるATDC10度で最大になる点火時期のこと。アイドリングでこれを調べるのは簡単で、デスビを回してアイドリングが最も高くなる点火時期を求めればOKです。2110の場合、25度でもっとも上がりさらに回すと45度程度でアイドリングが下がってきます。なので35度がMBT。
35度進角が必要なところを10度しか与えていなかったのですから、そりゃ後燃えしますわね。

ちなみにボア85.5/カム288/ペントルーフ+スキッシュありの1951BPエンジンの場合はどうだったかというと、MBT=25度程度。それなりに内部EGRがありますがスキッシュとボアが小さいのでこれで足ります。ちなみにあえて1000rpmで20度程度にセットしてその分わずかにバタフライを開けてアイドルを保つと同時に、1000rpm以下を25度にセットすることで、外乱でアイドリングが下がった際のリカバーを助けてます。

さてスキッシュが生きてくるのは中回転までです。それより上では逆にスキッシュはノッキングの誘因となります。また吸気速度が上がる高回転ではタンブル流が強まるので、スキッシュが無くても混合気の撹拌が可能となります。つまり高回転ではセミヘミであっても、ノーマル形状の燃焼室と進角の要求度合はさほど変わらないという事。Sambaでの+4度、つまりBTDC34度くらいという記載は納得できる値です。

という事は。アイドリングから高回転までずっと35度近辺で良いという事。デスビ加工して固定進角でいいんじゃん・・・とは行かないんですな。エンジンが始動できません。
セルの回転数は燃焼速度に比べて圧倒的に遅いので、始動時にはBTDC0度〜ATDC10度程度が望ましく、BTDC10度以上の進角ではセルが燃焼圧に蹴り返されてしまい(ケッチン)始動できません。

と、ここまで考えたところで今日のところは終了。
問題が把握できたところで実際にどういう手を打つか、考え中です。





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