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タコ足溶接修理

道東に旅行した際に、タコ足にヒビが入ったのです。


こんな感じで、半周ほど割れておられます。画像は3番ですが、1番も同様にヒビが入ってます。
100vアーク溶接を行いますが、こういう母材同士の厚みが異なる溶接はうまくいった試しがないのです。いつか出来るようになりたいと思っていたのと、万が一失敗してももう十分このタコ足は楽しんだよな・・・という思い切りもあってチャレンジすることに。
溶接棒は1.4mmのステンレス用、マフラー用パイプの突き合わせ溶接ならちょうどいい太さです。


電流の設定はこんなもん。突き合わせ溶接ならもう少し低めでやりますが元の溶接部分はかなり厚みがあるので高めに設定しました。


4回チャレンジして全戦全敗。
溶接が終わった直後のスラグをかぶってる状態だとビードが両母材にまたがってるように見えるのですが、スラグを叩き落としてみると全然ダメ。アークスタートを元のビード部分の上で始めて少し待ち、プールが出来てからパイプ側に引っ張るのですがプールがスムーズに流れてくれません。


どうにも先が見えないのでFireRoadster氏に聞いてみました。そしたら電流が全然足りてない、と。
70アンペアにセットしてしばらく格闘したのがこれ。何とかパイプ部分にビードが跨ってくれました。
ただ、なんか違う。かなりプールを溜めないと熱量が足りなくてパイプに引っ付いてくれません。また、溶接棒を同じ位置にキープするとプールが横にではなく縦に増えていく感じ。赤で囲んだ部分がそれで、まさに鼻くそ溶接。他の部分も似たようなもんだったのですが、グラインダーで削ってそれなりに仕上げちゃってます。


続いて1番。今度は溶接棒を1.6mmに変更。1.6mmだとアークスタートが難しくなり母材にピタピタくっついてイライラします。なので電流をさらに上げて80アンペアに。これでスタート出来るようになりました。
画像は最初のトライ。元のビード側からアークスタートして、小指の爪くらいのプールが出来てからパイプ側に引いてます。1.4mm溶接棒の時よりプールが小さいです。


スラグを叩き落としてみると。やっぱりねえ、パイプ側に付いていません。


グラインダーで失敗ビードを全て削り落としてもう一度。
さっきより少し大きめのプールを作って、パイプの上でもちょっとだけ長く溶接棒をキープ。一回目よりスラグの端がやや滑らかにパイプに載ってます。


....ダメだ....。


もしかしてパイプ側の方がフランジ側より熱逃げが大きいのかも知れません。1番は端っこですもんね。
パイプ側からアークスタートする事に。溶け落ちが怖いのでパイプ上であまり長く溶接棒をキープ出来ません、最小限のプールを作ってフランジ側に伸ばしました。スラグとパイプの繋ぎ目はかなりスムーズでパイプ側にはちゃんと付いているだろうと分かりますね。


パイプとフランジ、両方にちゃんとくっつきました。
フランジ側の方がビードが狭くなってしまってます。フランジ側を下に傾けてプールが流れやすいようにしてやったら均等にビードが載ったかも。


先ほどのビードの不要な肉をグラインダーで削除。隅からアークスタートしたり、狭いところにプールを流し込むのはうまく行かないことが多いので、溶接部分はなだらかにしておいた方が良いです。
前の溶接ビードの淵からアークスタートしてプールを作りパイプ側へ、さらにもう一度フランジ側に戻ってプールを再形成しパイプ側へ、と動いてみたのですが....これは失敗。マタンキができてしまいました(笑)。温度が上がった後半のワンストロークは少しパイプ側にも繋がってますが、最初のストロークは全くだめ。ストローク同士も繋がってません。


マタンキは削り落としてしまいます。


ここまでのトライでどうもパイプ部とフランジ部の熱逃げ量はほぼ同じのような気がしてきたのと、マタンキのおかげで、ちょっと肉厚ができて溶け落ちの恐怖が減ったのもあって、付き合せ溶接の要領で割れ目の上でアークスタートして円を描いてビードを進めてみることに。
ペターっとパイプ側に流れている様子から、どうやらパイプ側には付いたっぽいけど...だいたいこれまでのパターンだともう一方には載ってない事が多いんですよね。


あらま、嘘みたいに上手に出来ました。
このまま完成でもいいレベル。


ちょっと削って、もう少し肉盛りしてやったりして。


最終的にこんな感じで。
元の溶接も大して綺麗じゃないですし、新しい溶接部に焼きが入れば気にならなくなるでしょう。

しかし素人の溶接ってのは溶接している時間より失敗したのを削ってる時間の方がはるかに長いですね。
ともあれ、出来ることが一つ増えたってのがけっこう嬉しい。サンキュ>Fire氏。理屈も大事なんだけど、結局どうセッティングすりゃいいの、に関して例えば塗装だと圧や口径の具体例がたくさん出てくる。ところが溶接だとあんまり出て来ないので助かりました。溶け落ち怖いから電流上げない、上げないから細棒しか使えない、というジレンマから抜け出せないとこでした。
以下は自分用覚え書き。
母材が溶ける為に必要な温度は決まってて、細棒で熱量稼げず母材が溶けなきゃ玉になって片方にしか付かない。棒を運ばずにとどまってりゃプールの溜まりが深くなるので熱量は上がるけど、どんどん逃げるので、プールは広がらない。なのでビードも引けない=母材の他方に移れない。
薄肉なのでプール温度は母材が溶けるギリギリに低くしたまま、プールを手早く進めて行きたい。 一気に母材温度上げられる太い棒が必要、太い棒でアークスタート出来るトコまで電流上げる。今回は場合は80アンペアだったけど状況により上下すると思う。
細棒で始めて、プールが広がらずビードが盛り上がるとか玉になるなら棒が細すぎ→太くする
太くしたらアークスタート出来ない→電流上げる
母材の片方にだけつく→逆の母材からアークスタートしてみる





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