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MAP脈動 6 チェックバルブテスト

トーナメント方式は、確実に各気筒の影響を平均化するために有効。ログのサンプリング速度の限界はありますが、振幅に関してはログは信用できそうだ、というのが前回までにの拙い考察で至った推論。


この写真でトーナメントの先についている白い筒はオリフィスで(ちゃけさんが調べてくれました)、金魚鉢バルブと同じ役割です。トーナメントが優れているといってもそれだけでは脈動は消しきれないようですね。
ちなみにこの写真でマニの下側に写っている赤い筒、直列でそっくりなのがもう一つ入っていて、それぞれオリフィスとチェックバルブ。#4とダッシュポットを繋ぐホースの間に入っています。


チェックバルブがどう働いているのかよく分からず、Twitterでブツブツ言っていたらElister2さんが教えてくれたのがこれ。トヨタ用のチェックバルブ。息を吹き込んでみると人間の呼吸器システムが作り出せる圧力レンジでは完全にワンウェイ。逆向きには全くリークしません。


そんな訳でチェックバルブ=一方通行、という認識だったのですが、必ずしもそうではないんですね。シール力によって変わりますが、分かりやすく言うと1.xウェイなイメージでしょうか。減圧側は抵抗にならないため圧損はなく、戻り側にのみ減衰を掛けることで脈動幅を抑えることが可能になるかも、と期待。
一方で戻り側減衰が高すぎる場合、エンジン制御に使えないほどのディレイが発生してしまう可能性もあります。前述の111純正で、#4とダッシュポットを繋ぐホースの間に入ってるやつは恐らくダメ。このチェックバルブが管理している負圧の役目は「ある程度の回転数からのアクセルオフでダッシュポットを強制的に縮めてスロットルを完全に閉じること」。再アクセルオンで正圧側に振れるとダッシュポットが伸び始めるけど、その時要求される動作時間はせいぜい0.1sec単位、多少のディレイは問題ないという前提で設計されているはずなので。


テストを行うため、このように配管しました。二つの金魚鉢バルブの切り替えでチェックバルブの有無での違いを観察します。チェックバルブの向きは矢印の通り。MAPセンサーから吸いだす方は抵抗なし、MAP値が正圧側に戻ろうとするときに減衰が掛かるはず。
前回の反省を生かしてロギングレートは目いっぱい上げて20set/secに。


最初はチェックバルブをバイバスさせてエンジン始動。


吹かした後、チェックバルブありに切り替えています。振幅が少なくなり、チェックバルブ無しの振幅(平均68.0、上が74.9・下が62.7)の下限側に収束したのが分かります。平均で64.3、振幅は±1。オリフィスなしでこれは素晴らしい。チェックバルブは振幅の減衰においては意図されたとおりに動作しているようです。

続いて確認するのはディレイの程度。上り坂がゆっくりになったらダメ。

まずはチェックバルブ無しでのMAPセンサー値の反応を再確認。

明確にスロットルの動きとシンクロしています。


チェックバルブON。左側から見て行きます。
ゆっくりスロットルを開けて行き、閉じた際にMAPセンサー値のピークとTPS値のピークがずれているのが分かります。約0.5秒のずれがあります。
真ん中過ぎからスロットルを4回、比較的急激に動かしています。この動きにMAPセンサー値はついてきていません。
4回目のスロットルワイドオープン後、MAPセンサー値はボトムに達し、そこからの戻りにもディレイが認められます。


別のチェックバルブ無しのサンプル。やはりスロットルの動きへとの綺麗なシンクロが見られます。


チェックバルブON。TPS値のピークとのずれと、スロットルの急激な動きに全く追従できていないのが確認できます。



アイドリングやゆっくりしたスロットルの開閉のような、比較的安定した状態であれば振幅を縮小しレスポンスを保てます。過渡においてはディレイが大きすぎ、エンジン制御のメインパラメータとしてMAPセンサー値を使う際にはNGであることが分かりました。
それこそ前述のダッシュポットやパージの制御に使うんでしょうね。



続いて、チェックバルブの方向を逆にしてテストします。マニ圧が下がる際に減衰が掛かる一方、マニ圧が上昇していく際には抵抗が無い状況となります。言い換えると上り坂には影響がないはず、下り坂がゆっくりになるかどうかに注目。

バイバスは取り外してしまい、連通管とMAPセンサーの間にシンプルに挟み込みました。後で考えてみればこの前のテストでは金魚鉢バルブで直角の曲がりが二つ出来ており、オリフィス効果が生まれていた可能性がありますね。厳密には同条件でテストすべきでした。


そんな細かなことなどどうでもよくなるような、衝撃の結果がこちら。
始動と同時に100kPa、スロットルを煽ろうが関係なく大気圧に張り付いたまま、時折じりじりと上昇していきますが全く下がってきません。下り坂がゆっくりになるとかいう次元じゃなく、見渡す限りの大平原。草しか生えてない。

これぞまさしくワンウェイバルブがそうあるべき姿。




ということで結論。
エンジン制御の負荷軸としてMAPを使う上で、振幅を縮小するために使える現実的なオプションは
・トーナメント方式の負圧配管
・オリフィス
・負圧タンクを使うなら十分な大きさを確保(未テスト)

その他、信頼できるMAPセンサー値を得るために気を付けることとして
・ISCV/ ブレーキマスターバックの影響を必要以上にMAPセンサー値に反映させない
・ISCV/ ブレーキマスターバック配管をMAPセンサーへの配管と別経路とする
・もしくは十分な容積の負圧タンクとそこへの配管の太さを確保する(未テスト)

ということになるでしょうか。







結局負圧計見ながら金魚鉢バルブいじいじかーい。20年以上前から進化してないな・・・。





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