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Flat Shift (Gear Change Ignition Cut)

大きなターボのついたチューンドでよく見られる、アクセルペダルを踏み続けたままでシフトすることが出来るフラットシフトとかギアチェンジ点火カットと言われる機能、MoTeC M4にもついています。


Iuput/Output Functionsに行って。


今までは使われていないデジタルインプット2を開きます。
ここでいう「デジタル」とはスピードセンサーのパルスや単なるON/OFFスイッチの入力を指します。可変ではなく0 or 1の入力を割り当てるポートがこれ。


12■クラッチ を選びます。


NA8Cには純正でクラッチスイッチがついています。
紫で囲んだのがそれ。緑色の円盤はレバー側についているパッド。


2線のカプラ―が刺さっています。


黒:GND
茶白:ECUへ。
ここで気を付けないといけないのは、このセンサー線(茶白)は上流でミッションに取り付けられたニュートラルスイッチと合流してからECUに接続されているということ。
フラットシフトに使うためにはニュートラルスイッチの介入は邪魔なので、クラッチスイッチの手前で茶白をカットし配線を延長してMoTeCに入力します。ECUカプラの1VからMoTeCに入力するのはこの場合はNGです。

んが、正しく配線したのに動作してくれません。


外してきたらすぐに原因が分かりました。クラッチスイッチが壊れています。
白い棒が飛び出した状態で導通あり。これ自体は正常。


問題は白い棒が正規の位置まで飛び出してくれないということ。


ばらしてみました。とても単純な構造です。
白棒が飛び出すことで、紫で囲んだリング部分が端子間に挟まって導通が生まれます。


白棒を押し出すためのスプリングがバラバラに砕けていました。


ボールペンをいくつか破壊してちょうどいい長さとレートのスプリングをゲット。


これで修理完了です。2-26を塗ってから組み立てました。


MoTeCにセンサーからの配線を接続。デジタル2は20番端子です。


極性の設定。0を選択します。
これでセンサーが使えるようになりました。


続いてはフラットシフト自体の設定です。
Misc Functionsに行って(Misc=Miscellaneous:取るに足らない、様々な)Gear Change Ignithion Cut を開きます。


カットモード。
1■次のギアにシフトし安定した後、一定時間で点火カット終了
2■点火カット開始のシグナルから一定時間で点火カット終了
後述します。


フラットシフト開始のシグナルを選択する画面。
1■フラットシフト用に設定したデジタルインプット
2■クラッチ用に設定したデジタルインプット
3■Aux 電圧入力
4■Aux 温度入力

2を選択します。

Input/ Output Functionsで# 12■クラッチの代わりにGear Change Ignition Cut用のスイッチ、という項目を選んでもOKです。その場合はこのシグナルを選択する画面で 1■フラットシフト用に設定したデジタルインプット、を選択します。


カットから段階的かつ加速的に復帰させる場合、それに掛ける時間。
0〜1.2秒の間でmsec単位で設定できます。とりあえず0で良さそう。


ここで設定したRPM以下ではフラットシフトが機能しなくなります。
あまり低すぎる回転数でクラッチを切った際、点火カット→そのままストールする可能性もありますね。ここはやってみてでしょうか。


同様にここで設定したTPS値以下ではフラットシフトが機能しなくなります。
踏んでないとき=比較的ゆっくりシフトするときには点火カットなし、にすると良さそうですが、この機能を使うなら十分に低い値にしておく必要がありますね。
フラットシフト機能を使うつもりでアクセル全開のままクラッチオフ→点火カット入らず→オーバーレブ・・・までは無いにしてもギヤ鳴りとかやらかしそうです。


Hi/ Lo Trigger VoltageはAux VかAux Tをフラットシフト開始のシグナルとして使う場合の設定。Aux VやAux TはON/ OFFではなく可変センサーなので必要になります。


一度終了したフラットシフト機能が次に再起動可能となるまでの時間の設定。
通常は0=即フラットシフト再開可能、で良いように思われます。ストール対策の一つとして用意されている機能でしょうか。


カットレベル。本来の点火数からどれだけ間引くか。回転数をどれだけ落とすかを決める重要な数値になる気がします。シフトに掛かる時間との兼ね合いがありますので、実走してみて調整ですね。

# 50%カットで4500rpm辺りでのシフトアップだと回転数が上昇していきました。もう少し多めにカットする必要がありそうです。

街乗りとサーキットでは全く要求される時間が異なってきますので、一律で決められてしまうのは辛いかもしれません。せめて回転数や負荷軸でテーブルが書けると良かったのですが。
そもそも街乗りで使う機能じゃない、ってことですかね(笑)。


点火カットとともに、リタードが可能です。
シフトアップ中にスロットルを開けっ放しにしブローオフバルブを動作させないことでブーストを逃がさないのがフラットシフトの目的ですが、さらに排気管中で後燃えさせてタービンを積極的に回すための設定だと理解しています。


ニュートラル〜10thギアまですべて同じ記述です。

モード1(次のギアにシフトし安定した後、一定時間で点火カット終了)
このギアシフトアップし安定した後、点火カットから復帰が開始されるまでの時間。

モード2(点火カット開始のシグナルから一定時間で点火カット終了)
フラットシフトのシグナルが入ってから、点火カットからの復帰が開始されるまでの時間。このギアから次のギアにシフトされる。

モード1でシフトアップ後に遅滞なく点火カットから復帰し加速できるのであれば、モード1が妥当な気がします。ログを見る限り、MoTeCのギア判定時間は十分に短いと思われますが、これもやってみて確認ですね。
次のギアへのシフトが完了したら即点火復帰してほしいわけで、このディレイ設定必要?って思うんですけども。


ギア判定に使われているのはDENSOの汎用車速センサーからの信号。これを元にギアレシオの設定から計算しています。ロードスターはミッションから車速センサーを取っているため、デフギアレシオの入力が必要。うちのは4.777が入力されるはずなのですが、それだと表示がずれるため現物合わせで試行錯誤した結果4.00でGPSの表示速度とぴったり同じになりました。スピードメーターケーブルが刺さるドリブンギアの減速比やタイヤサイズの入力はありませんので、もともと現物合わせが基本なのかも。

半クラッチや、シフトアップ中にエンジン回転数と速度の関係が大きくずれると当然ながら誤判定がありえます。それを避けるためにディレイタイムが設定されており、今のところ50msecになってます。
上述の「ディレイ設定必要?」という疑問。エンジン回転数と車速が特定のギアにマッチした時点で復帰、しかし実はまだクラッチを繋ぎ終わっておらずエンジンだけが吹けてギアが鳴る・・・という事象が起きえる? としたら確かにMoTeCのギア判定が速すぎて困るケースがあり得るのかも知れません。





実はこのフラットシフトの機能を使おうと思ったのには別の思惑があって。
点火カットレベルが0〜100%の間で設定できることに気づいて思いついたのですが・・・試してみたところどうもうまく機能してくれません。
うーん。何故だ。


2021/08/14 追記
この機能を使って10回ほどシフトアップしたらコイルが飛びました。
原因は不明。点火カットした際にまさか一次側への通電はそのままってことはないとは思いますが、ドエルがどうなっているのか等、確認が必要かも。自分にはコイルを飛ばすかもしれない爆弾抱えて頑張るメリットは見いだせないのでこの機能は封印。
M4の場合フラットシフト中に燃料はカットされないのでアフターファイヤがパンパン出るのは面白かったですが(笑)。
/追記





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