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MSハードトップ補修 窓用治具編 1

マツダスピードハードトップのリアウインドウはポリカーボネート製。


本体への固定はシリコンシーラントとエプトシーラー。スクレーパーを差し込んでゴリゴリいくと比較的素直に分解されてくれました。Tomoyaさんに「アグレッシブにいけばあっさり」と聞いていたのでそれはもうゴリゴリいきました。
縁が内側から黒く塗装されています。ちょうどその表側になる部分に細かな傷が入っています。


磨き傷みたいに見えますが、かなり気を遣って扱っていたのでそんなはずはないかと。経年劣化によるものかと思います。
埃まみれになってますが、透明度自体は結構保たれていて実用上の問題はありませんでした。

せっかくなので、リアウインドウも新品に交換したいのです。
ただ、形状が3Dになっており、一筋縄ではいかなそうです。

当初考えたのは、12mm合板の骨組みに薄いシナ合板を被せて型を作り、ポリカーボネート板を固定し熱を掛けて変形させる方法でした。しかしそこで懸念されたのが板の波打ち。
全体を均等に温めないと部分的に膨張度合が異なって波打ちが容易に発生することが考えられます。これをクリアするために、ヒートガンの熱風を均等にいきわたらせるための導風ガイドを持った箱を作って窓と型全体を入れ、いくつかの場所に配置したサーミスタで温度を管理しつつゆっくりと温める、ということを考えました。

しかしそれでもどうもうまくいくイメージが持てません。

ポリカーボネートの線膨張率は6.8x10-5/℃、熱変形温度は130〜140℃程度です。MSハードトップのリアウインドウの幅は1150ほどありますので25℃→135℃に温めるとすると、膨張量は8.3mmにもなります。これだけ伸びると大人しく型に寄り添っていてくれる気がしません。
程度がどの程度かはともかく間違いなく波打ちます。
型とポリカーボネート板を完全に固定せず、両者の間を真空引きして板を型に沿わせるとこの問題をクリアできますが・・・ハードルが高すぎます。

窓ではなく、例えばライトカバーとかなら真空引きなしでイケる気がしますけど、窓の場合はそれを通して見る景色を考えると・・・わずかな歪みでも吐き気がしそう。


たどり着いた答えが「コールドフォーミング」。
つまり常温下で曲面に曲げてしまうという方法。ポリカーボネートの曲げに対しての靭性の高さを利用する訳ですね。

本体への接着はシーラントを使うとして。
問題になるのが、シーラントが硬化するまでどうやって窓をハードトップに沿わせておくか、ということ。ハードトップとボルト留めしてしまえば簡単ですが・・・美しくないので却下。

思いついたのが、治具を作成し、治具と窓を「ピアノ線で」固定すること。この時点でポリカーボネート板は治具に沿って成形されます。その上でシーラントを塗って本体に接着、シーラント硬化後ピアノ線を抜き取って治具を取り去れば完成。ポリカーボネートの窓にピアノ線を通すための小さな穴を開ける必要はありますが、見た目への影響はごくわずか、雨漏りの可能性もほぼありません。



元の窓にぴったり沿うように、ツーバイ材を削りました。
窓と当たる面はもちろん、外側のラインも一致させないとハードトップと干渉してしまいます。


子供を寝かしつけた後、深夜にガレージで一心不乱にカンナとノミで木材を削ってると仏像を彫っている修行僧のような気分になりました。


窓の上側は比較的まっすぐなラインだったので楽だったのですが、下側は大きくラウンドしているためツーバイ材一本ではカバーできず。2枚張り合わせてみました。


カンナだけで削り落とすのはちと骨だったので、丸鋸で切れ目を入れてハンマーで叩いて落としました。


ここからさらにノミやカンナを使って成形していきました。


ちょっと削りすぎたか・・・窓と接する面はピタッと一致しているので良しとしましょ。


上下を繋ぐための部品を切り出しました。


合体。


この隙間も埋めておく必要があります。
ここまでの作業時間4〜5時間というところ。





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