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クランクインデックスポジションの考察

過去にMoTeC用にクランクアングルセンサーを改造した際、クランクインデックスポジションの値(CrIP)は607→69に変更されました。今回36歯トリガープレートを使うことでいくつに変更されるでしょう?

そもそも前回の変更で何が起きたのか、CrIPは何を示しているのか、ちゃんと理解しておくことにしました。ググったらヒットしたのがおなじみGENさんのサイト、【crip】 クランク・インデックス・ポジションの適正値【REF/SYNC】 クランク角センサー設定。加えてFire丸山氏のハードウェア解析編。同じ内容になりますが、自分用の覚書としてここにまとめておこうかと思います。


両氏のページの図を合体させたもの。msecの値は約800rpm時点でのREF/ SYNC信号の矩形波の長さ。
1サイクル720度でREFは4回出ます。SYNCの方は純正クランクアングルセンサーなら2回、改造しているうちの場合は点線のが消えて1回だけです。


純正ECUのトリガはREF:Rise、SYNC:Fallとなっています。MoTeCのマツダB型スペシャルモードも同じ。SYNC信号が検知された(赤)後、次に来るREF信号(緑)が#1気筒圧縮TDCを検知するために使われます。CrIPはこの緑から#1気筒圧縮TDCまでの角度を示しているんだそうです。
計算してみましょう。
(14+22+14+22+14+22+14)msec / 144msec x 720度=610度ですね。前述のマツダB型スペシャルモード時のCrIP=607ですからほぼ一致します(クランクアングルセンサーの傾きで少しずれる)。


続いてクランクアングルセンサー改造後。この時MoTeCのトリガのセッティングはREF:Rise、SYNC:Rise。SYNC信号が検知された(赤)後、次に来るREF信号(緑)から#1気筒圧縮TDCまでの角度はずっと少なくなります。
こちらも計算してみましょう。
14msec / 144msec x 720度=70度ですね。こちらもMoTeCに入力した値=69度とほぼ一致します。
トリガのセッティングをREF:Rise、SYNC:Fallに変更した場合、マツダB型スペシャルモードと同じCrIPになるはずです。


仮にREF:Fall、SYNC:Riseにした場合はCrIPはほぼゼロになるということになりますが、REFは精度重視で純正同様のRiseにしておいた方がいいです。

SYNCはREFほど精度を要求されない(フラグを立てるだけなので)ですが、GENさんに見せてもらったSYNC信号を見ると、Fallの方がRiseより矩形がくっきりしていて一応ベターかも。





36-1歯トリガープレートを使う場合はREF/SYNCモードの変更が必要です。クランク1回転で欠歯が1なので51-54が該当します。


1の位はREF/SYNCの設定を反映しています。36-1トリガプレートと組み合わせて使うセンサーはNB純正で、調べてみるとHallタイプでRiseで使うものでした。NAと同じですね。SYNCの方はNAクラセンのままで変更ないのでFall、よって2が該当するということになりますので52を入力します。
NBのREFセンサー、ちゃけさんによると条件次第でFallの方は出力タイミングが変化するそうで、絶対にRiseで使うべきだそうです。


Crank Ref Teeth=歯数は欠歯を含む数字=36を入力。
この項目はNAクラセンだと使われていません。


その下のTooth Ratioとは何か。ヘルプを読むと「予測されたタイミングからTooth Ratioに記載の%以上遅れて次の信号が来ると「欠歯」と認識される」と書かれており、この図が載っています。
当然ですが歯が無ければ信号が入らないため、MoTeCから見ると「欠歯」そのものを認識することは出来ないんですね。来るはずのモノが来ない時にどこまで待って「欠歯イベント発生」と判断するのかを決めているのがこの値ということになります。短すぎると回転数の急激な減少で「欠歯」と判断される可能性があります。60-2のように欠歯が2枚あるタイプのトリガープレートだとこの値を100%以上にするなど大きく取ることが出来るため有利です。
GENさんが32-1でTooth Ratio=50%(MoTeCの推奨値)ではクランキング時にエラーが出た、と報告されていましたので、様子を見ながら必要なら伸ばしていくようですかね。



さて、いよいよCrIPです。


欠歯のあるトリガープレートを使う場合、#1圧縮TDCはどのように計算されるのかというと。
ヘルプによると、SYNC信号入力→次の欠歯→欠歯の次のREF(=The Index Tooth)+CrIP=#1圧縮TDC、のようです。


北米純正の36-1トリガーREFとNAクラセンSYNCの組み合わせ。GENさんがTwitterに上げてくれたオシロスコープの画像を元にしています。SYNCはFallなので赤線で信号が入り、次に来る欠歯の次のREF(Rise)(=The Index Tooth)は緑の位置。そこから#1圧縮TDCまでの角度は435度くらいでしょうか。
ノンサポデンシ製トリガープレートとは少し異なると思われますが、十分参考になります。



やっとCrIPが理解できて良かったです。情報をwebに上げてくれていたGENさん丸山さんと、いつも貴重な情報を惜しみなく教えてくれるちゃけさんに感謝です。





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