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4スロの同調調整

ITBの同調調整は大きく二つに分かれます。
1:バタフライアジャストスクリューの調整
2:バイパスエアアジャストスクリューの調整
です。

順番に行きましょう。
1:バタフライアジャストスクリューの調整
・エンジンが停止している状態で合わせます。
・バタフライシャフトを横から見た際に全てのバタフライバルブがぴったり重なるように、バタフライバルブ同士の静的な位置関係を調整するのが目的です。

では調整方法。やることはキャブでも一緒です。


シンプルなのは目視。スロボをエンジンから取り外した状態でバタフライバルブを光にかざし、隙間量を見て調整するだけ。ボアとバルブがキレイで段付き摩耗がなければ、簡単な割に侮れない精度を出せます。


エンジンに取り付けてしまっている場合には紙の帯をシックネスゲージがわりに使います。


最初にスロットルワイヤーが繋がっているスロボ(ZX12Rの場合は1番)のバタフライバルブに紙を挟み込みます。ストッパーのアジャストスクリューを回してバタフライバルブを少しずつ開けて行き、紙を引き抜く時の抵抗量が程よくなるまで調整します。

続いて先ほどのスロボに駆動されるスロボのバタフライバルブ(ZX12Rの場合は2番)に同じように紙をはさんでバタフライアジャストスクリューを調整、最初のと同じ摺動抵抗になるようにします。全部のスロボで繰り返したらおしまい。

注意点としては、調整中のスロボに駆動されるスロボ(例:2番を調整しているときの3番や4番)のバタフライバルブが全閉になっていると、それがつっかえてしまって調整中のバタフライバルブがそれ以上閉まる方向に動きません。アジャストスクリューを回してもバタフライバルブが思うように閉まっていかない場合には隣のバタフライを確認。

調整が終われば全閉〜全開まで各バタフライバルブの開き量は常に同じになります。

2:バイパスエアアジャストスクリューの調整
・エンジン稼働状態で合わせます。
・アイドリング状態で各気筒の吸気量を一致させます。

バタフライアジャストスクリューの調整が済んだ時点で理論的には調整終了(実際それでほぼ問題なかったりします)ですが、バタフライバルブの建て付け誤差、スロットルボアの汚れにより、アイドリング時にバタフライバルブを通過するエア流量に気筒間差がある場合も多く、これを補正するのが目的。

# エンジンの燃えが悪いと吸気量が落ちるので、バタフライバルブの調整以前の問題で話になりません。スロボの調整をしようなんてときは何かしら調子が悪いことも多いでしょうから、まずはプラグをクリーニング、出来れば低熱価の新品プラグを使うと良いですね。


調整にはエアフロゲージを使い、針の上下を見ながらバイパスエアスクリューを回すだけですが、ぴったり合わせ切れなくても神経質になる必要はあんまりないです。多少の吸気量がずれて気筒毎のAFが13.5〜15でブレても、それがアイドリングの安定度に与える影響はわずかです。
# 合わないからとバタフライアジャストスクリューをいじって合わせるのは厳禁!スロットルを開けた時の空気量が気筒間でばらついてしまいます。

実際の作業時にはISCVの関与を考慮に入れておく必要があります。
(※ISCVからのエア供給量に気筒間差がある場合、セッティングでの対処が難しい場合も多いです。パイプ形状の連通管(バランスパイプという商品名で売られている)を使う場合、ISCVからのエアをパイプの一端から入れて各気筒に供給すると、ISCVに近い側の気筒が多く吸ってしまって、気筒間に均等分配されていない可能性が大きいので注意。バランスパイプを設置するなら1-2間と3-4間の2か所からエアを供給し、2-3間を断絶するとトーナメント方式となりこの問題を回避できます)

ISCVがONの場合、ファンネルにエアフロゲージを当ててエア流量を見ても、吸気全量を測ることは出来ません(ISCVからの流量が含まれない)。
ISCVのDUTYをゼロにしてバタフライバルブからのエア供給のみとすればエアフロゲージの測定値=吸気量となりますが、アイドリングを維持するにはISCVを閉じた分だけバタフライバルブを少し大きく開く必要があるはず。バタフライバルブの建て付け誤差やスロットルボアの汚れの影響度はバタフライバルブを閉めるほど大きくなりますから、同調調整後にISCVを開いてバタフライバルブを絞ると前提が変わってしまいます。よってこの方法も厳密にはダメ(でもこの方法でやってます)。


MAPにはISCVからのエア供給が反映されますので、多く供給されている気筒のMAPは高い=大気圧に近くなる原理。負圧計ならISCVが開いた状態の気筒間差を見られそうに思えます。正解、ですがMAPによる調整は理想論で、常に当てはまるとは限らない。(以下、マニアックな話なのでそういうのが好きな人だけどうぞ)。

MAP値が各気筒のエア流量を反映するという考え方は、各気筒の要求量が正確に同じであるという前提に立っています。気筒コンディションが全気筒で等しく要求エア量が同じ場合のみ、高いMAPがエアの過供給を意味し、低いMAPがエアが足りてないことを示します。
一方、そもそもの要求量(充填効率と言い換えてもいい)が気筒間でわずかでも異なる状態で、エアフロメーター or 負圧計の測定値を頼りにバイパススクリューを調整するとどうなるのか?

まずエアフロメーター。
要求量が少ない気筒はエアフローが少なく出力が小さい→バイパスエアを増やせばエアフロー値が上がり、出力が上がり、他の気筒とバランスする。
実にシンプルで問題ありません。

負圧計ではどうなるか。
充填効率が低く要求量が少ない気筒のMAP圧は下がりにくい、つまり大気圧に近い→他の気筒の低いMAPに合わせるにはバイパスエアを絞る→MAPは下がるが、エア供給量が減り充填効率が下がるので当気筒の出力はさらに低下。
結果、MAPは均等化出来たけど、出力はよりアンバランスになります。

MAP値で一つの内燃機関の充填効率の連続的な変化を見ることはでき、だからこそ回転数 x MAPでDジェトロというエンジン制御が成立する訳ですが、異なるエンジンのMAP値(@同じ回転数)を比較することで吸気量を比べることは出来ないですよね。同じ1250rpmでA車の方がB車のMAPより高いからといって、A車の1250rpmの吸気量がB車のそれより多い、とは必ずしも言えません。両者間に充填効率の差異が存在するかもしれないから。一方でエアフロー量は絶対値なので他車との単純比較が出来ます。だからエアフロを使うLジェトロはカムやタコ足を変えて充填効率が変わっても目標空燃比が同じであればセッティング変更が要らない。
気筒間差異の測定でも同じこと。MAPがズレていたとしてもそれがアンバランスを意味するとは限らない。それは充填効率の差を吸気の供給量で吸収し出力を平均化した結果かもしれない。

おまけに実際のMAP測定&調整時には、ほかの気筒のMAPが回り込んできますので話はさらに複雑になります。

MAPを合わせてみたら逆にアイドリングのスムーズさが失われる場合には、上記のようなことが起きているんだなと思って、MAPは参考に留めてスパッと無視しちゃうのが良いかも知れません。




・・・とまあくどくどと書きましたが、現実にはバタフライバルブの開き具合がちゃんとシンクロしていれば、まず問題なくアイドリングしてくれますし、調子よく走ってくれるはずなのでそんなに神経質になる必要はないです。
バイパスエアいじるよりバタフライバルブのアジャストの方がずっと大事。これだけは肝に銘じておきましょう。

実際の調整の様子はこちら







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