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燃焼効率がO2センサー値に与える影響

ふと基本的なことが気になりました。

例えばエアクリーナーをファンネルに替えて吸気効率が改善したとします。スロットルポジションセンサー(以下TPS)はその吸気効率の変化を捉えることはできないため、スロットルポジション制御(以下TP制御)ではこの場合、空燃比計はリーンに振れます。燃料マップの再調整が必要ですね。
一方でエアフロや負圧センサーは吸気効率の変化を捉えることができるので、マスフロー制御(MAF制御)とピードデンシティ制御(SD制御、D-ジェトロニック)ではマップの読む位置が変わり、空燃比計の値がどうなるかは新たに読むことになったセルの値に依存します。

いちいちマップやり直しになるTP制御めんどくさい・・・んですけど、この特性を利用してバルブタイミング変更による吸気効率の変化を定量化したり、茶漉しが吸気抵抗になるかどうかを確認したりできます。

ちなみに。
MAF制御ならフロー値を見れば同じように吸気効率を評価できますが、MAF制御はほとんどの場合は純正ECUでやるのでそのままではログが取れません。かつてはロギングが使えるのはフルコンの特権だったのですが、今は事情が変わってTech Edgeのハイエンド空燃比計でログが取れます。rpmと車速に加えていくつかのアナログ入力端子と内部ログを備えているのでエアフロ電圧も入力できるかも。
SD制御の場合はどうなんでしょう?ITB(4スロ)だと全開時のMAPはどうやってもほぼ大気圧でMAPの読みで評価することはできないですが、そもそITBにSD制御は不適。シングルスロットルでは全開のMAP値はどうなってるんでしょうね。



まあ、ここまではヨシ。

今回の課題は「燃焼効率が変化したら空燃比計の値はどうなるのか」。
燃焼効率の向上も同じようにリーンに振れると思い込んでて、これまで考察したことがありませんでした。

仮説を立ててみます。
燃焼効率が改善すると、
(1)燃焼室内で消費される酸素量が増える→排気管の酸素分圧が下がる→空燃比計の値はリッチに振れる
(2)燃焼室内で消費される酸素量は増えるが、もともと排気管内で燃焼が継続している→O2センサーに到達した時点での酸素分圧に変化はなく、空燃比計の値に変化はない
 排気流速が絡むので回転数でも変わってきそうですし、排気管のどの辺りにO2センサーが取り付けられているかによっても影響度が異なりそうです。
(3)燃焼室内での燃焼が改善した結果、排気流速が上昇し掃気が改善することで新気流入が増える→空燃比計の値はリーンに振れる

どれも起きていると思いますが、1〜3どの要因が支配的か、を知りたい。結果は車両ごとに異なるかもしれません。

余談ですが。純正のO2センサーは応答性重視で上流に取り付けられることが多いように思いますが、社外品のマニの場合は気筒間差を生まないように、また排気の流れを乱さないように、合流した後の下流側に取り付けられることが多いように思います。何を重視するのか、自動車メーカーとアフターマーケットの生産者で考え方の違いが表れているような。


自分の車で確認するためには、燃焼効率を変化させてシャシダイに前後2回載せ、出力と空燃比計の値を同時に測定すればいい・・・のですが、そんな予算はないので他の方法を考えます。

要は燃焼効率の優劣が確実な二つの設定で空燃比計の値をモニターできれば良いのです。
もっとも簡単なのが点火時期を大幅にずらすこと。当然ながら点火マップはMBTを目指してノッキングが出る場合にはその手前まで、出ない場合にはMBT(と思われる値)まで進角しています。これを一律5度以上リタードしてやれば遅く点火された分、燃焼室内で燃やせるガソリンの量は減少し、出力は低下します。低燃焼効率モデルの完成です。



テストは同じコース(2速3速を行き来する峠道)を常識的なペースで走行したものと、私有地での2速での全開踏み切りを3度繰り返したもので行うことにしました。加速増量がかかってしまうとアクセルの踏み方ひとつで結果にランダムな影響が入るのでゼロにします。



赤が点火時期ノーマル(ファイル名0000)。
白が10度リタードしたもの(ファイル名1010)。


結果がこちらで、リタードなしの方が空燃比計の値はリッチに振れています。
(1)燃焼室内で消費される酸素量が増える→排気管の酸素分圧が下がる→空燃比計の値はリッチに振れる
というのが支配的であった、ということに。

ではアクセル開度の低いところではどうでしょうか。



TP10-30、上がリタードなし。縦軸は上に行くほどリーン。



TP30-50、上がリタードなし。

バラつきが大きくて見にくいと思いますが、いずれの場合もリタードなしの方が空燃比計の値はリッチに振れています。
(1)燃焼室内で消費される酸素量が増える→排気管の酸素分圧が下がる→空燃比計の値はリッチに振れる
は負荷量を問わず、回転数を問わず、常に支配的であった、ということになります。

これは個人的には衝撃的な結果で、過去に実施したテストの内、 インジェクションタイミング変更の効果をNEKOで確認した考察は全く逆の読み方をしなければいけなかった、ということになるのかも知れません。ただ、噴射時期の変更による燃焼効率の変化が、点火時期を変更した時のそれと同じように空燃比計の値に反映されるかどうかは、100%確信できなくなってもきました。何か見落としてる気がしないでもない。

しかし少なくとも今回の結果から言えるのは。
点火時期をいじることで燃焼効率が変化するのは間違いない。
その結果、空燃比計の値がどう変動するかは確認できた。
高回転での点火時期セッティングに役立つかもしれません。ノッキングという指標がなくてMBTが出しにくいので。






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