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ファンネル長が空燃比に及ぼす影響

以前からずっとやってみたいと思っていたのがファンネルの長さの違いによる吸気効率の変化の観察でした。しかしソレックス50でのキャブジェクションも111+E&Eも、スロボとマニの長さでスペースを食ってしまうためファンネルの長さを変える余地がほとんどありませんでした。


ZX12Rスロボ+自作マニは、BP用として自分が知る限りでは最も短い部類なので色々試すことが出来ます。アリエクで探すとリーズナブルな価格で格好いい汎用ファンネルがいくつか見つけられます。



ショート、20mm。口径は79mm。



ミドル、45mm。口径は80mm。



ロング、78mm。口径は81mm。

形状も口径もほぼ同じなので、長さの違いの影響だけを比較することが出来ます。
燃焼効率がO2センサー値に与える影響」で触れましたが、αN制御の場合は吸気効率が変化してもそれを感知するすべがないため、吸気効率の変化はそのまま空燃比の変化として現れます。吸気温度と油温、大気圧に差が出ないように気を付ける必要はありますが、ログを取って空燃比を比較することで吸気効率の差を定量化することが出来ます。


ミドル、送料込みで4個2560円と激安。届いてみたら思ったよりずっと上質でビックリ。




ショートとミドルの比較。ショートは3932円(送料込み)。
取り付ける際にアダプターとなるZX12R純正ファンネルの内径をショートに合わせて削りましたが、ミドルの方がわずかに内径が大きいのでほんの少し段差ができました。ま、言わなきゃ分からないレベル。


ロング。こちらは2957円、同じく送料込み。どれも10日ほどで中国から到着しました。ロングも格好いいですね。タコ足とのバランスが良い感じです。これが好きな人も多いかも。



Twitterでどれが最強か、予想を募集してみた結果がこちら。ロングが人気ありますね。
自分の予想は「どれも一緒」でした。



ちなみにこのファンネルたち、ZX14Rスロボにもぴったり取り付け部形状がフィットします。
ラッパ部分がわずかにお互いに干渉するので少し削って取り付けるようですね。それってとても素敵。


ファンネルって眺めているだけでワクワクしますよね。
吸気音も楽しいですし。
音の楽しさだと、わずかな違いではあるのですがちゃんとそれぞれ個性があります。ロングはシュコシュコシュコというキャブっぽい擦過音が出ます。これはほかの二つにはない音。踏めばどれも鳴るのですが、ララララララという気持ちの良い鳴きをしてくれるのがミドル。演出性ではショートが一番大人しいですね。まあでも、もう一度言いますがその差はわずかです。どれもいい音出ます。


さあ、結果の公開です。テストは2速で複数回のフル加速で行っています。
ミドルが赤、ショートが白、ロングが緑です。


縦軸がラムダ。ラムダに慣れない人も多いと思いますが、実測A/F値を理論空燃比で割ったものです。


A/F値とはこういう関係性になります。0.85が出力空燃比、1.00が理論空燃比と覚えておけば大丈夫。燃料ごとに理論空燃比が異なるため、例えばアルコールとの混合だとA/F値で話していると訳が分からなくなるためラムダの方が都合がいいんですね。


これがテストに用いた燃料マップ。MoTeCの場合(というか今時のフルコンはだいたいそうですが)燃料マップの値は%IJPU(IJPUは基本噴射量のこと)でつまりインジェクター開弁時間と同義です。アクセル開度100%のターゲット空燃比は全て12.5(ラムダ0.85)を狙っています。つまりこの黄色のグラフがそのままトルクカーブと考えていいです。このエンジンは5750回転でピークトルクってことになりますね。


Excel開いて最初の行に回転数、テーブルの値を次の行に、その下に観察されたラムダを書きとります。このマップはショートファンネルを基準に作製していますので、ショートでの観察値はおおむね0.85近辺に来ています。下から3つの行は、観察された値を参考にして、テーブルの値を書き換えた場合にいくつになるのか、を示しています。言い換えるとそれぞれのファンネル長でのトルクカーブ、ということになりますね。グラフ化してみましょう。


ピークトルクの位置はどのファンネル長でも5750で同じ。ピークトルク値はミドルとロングがショートより分がありそうです。
ピークトルクを過ぎたところで頭角を現すのがミドル、6250まで他を凌駕してます。そのあと少しロングが伸びて7000まで首位をキープ。7000から7500はミドルの勝ち。ロングとミドルの勝ち負けには回転数による傾向が見えにくいですね。
そしてここまでショートは一度も首位を取れていません。がっ、7500から上の500回転だけはショートの勝ち。良く言われている通り「ショートファンネルは高回転型」でした。

いやー、違いって出るものですね。やってみて良かった。

実際に乗ってみてどうか、というとですね・・・中間トルクの優劣は正直全く体感出来ません。それでもこの結果を見るとサーキットでタイムを詰めるならミドルかロングを選ぶようになりますかね。
自分がどれを選ぶかというと・・・ショート一択です。7500までのトルクが他より劣っているのと相まっての結果なのですが実走行でショートの伸び感はあからさまなのです。7000超えてからそれより上の回転域に吸い込まれるように回る感じ、ずっとBPで出せなかったものがやっと得られました。
一方のロング、7000から上で燃料が絞られていきます、これ頭打ち感につながるんですよね。ミドルも美味しいのは7500まで、ってはっきり体感出来てしまいます。

2023/07/11 追記

ふと思いついて、回転数を掛けてパワーカーブを出してみました。なんとショートのピークパワーは8000rpmで出ていました。テスト中にレブリミッター(8200rpmに設定)にうっかり一度当ててしまったのですが、このカーブを見ると無理もないです。タコメーターをちゃんと見てないとまだまだ回してしまいそうになるわけだ。
個人的にはこれはかなり嬉しい結果でした。
短い吸気系システムをわざわざ自作した甲斐があるってものです。






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