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パワステ改重ステ 1

うちのロードスターはずっとパワステのラックを改造した重ステ、いわゆるパワ捨てです。油圧アシストだけを廃止していて、よく問題にされるトーションバーはそのまま残っています。銀ドラ号は純正の重ステだったので、パワ捨てと真の重ステの違いも経験していて、その上でパワ捨てを選んでいます。昔存在したBBSで発言した通り純正重ステのギア比が好きでない上に、トーションバーの捻じれは自分にはよく分からないのです。ただ、昔ドラさんがパワ捨てのトーションバーを溶接固定したらビックリするほど違った、と日記に書かれていたのでずっとやってみたいなとは思っていました。

BBSで話題に上ってからかれこれ22年もたってしまったのですが、ラックのブーツが切れたのをちょうどいい機会と思って作業することにしました。


まずはラックを下ろします。右のタイヤハウスから覗き込んでいます。セレーションが切られているのがステアリングシャフトに繋がるインターミディエートシャフト。12mmのボルトを取り外せばインターミディエートシャフトとユニバーサルジョイントを分離できます。エンジンルーム側から長いウォブルエクステンション+12mmコマで回しました。


ラック本体はU字型のバンドでメンバー先端にボルト4本で留まっているだけなので簡単です。


めっちゃ汚かったので丁寧にお掃除。


Uターンしているホースは油圧を廃止した際に取り付けたもの。本来は油圧ポンプからのINとリターンです。
フルードを抜くときはこのフレアナットを緩めてステアリングを回し続ければオッケーです。抜けきったら両者を繋いでエアが行き来出来るようにします。


このチューブの真ん中に油圧で押されるピストンが入っているそう。その左右にあるパイプからフルードがピストンの両側それぞれに送られます。


ラック内部のシールを取り除きたかったのですが、分解方法が分からず。
運転席側は蓋的なものがなく、ラックは反対の助手席側に抜けていくように見えます。


助手席側のロッドにはストッパー?がついていて、ロッドはこれ以上中には潜っていけません。


確かに蓋のように見えます。しかし回すための切り欠きや、蟹目レンチの掛かる穴はありません。どやって外すんだろうこれ。

ひっぱたく系の作業のような気もします(嫌です)。


2024.04.09追記
分かりました、Flying Miataの”How to Depower a Power Steering Rack.html”に書かれていました。


上の写真のこの丸穴、ここをポンチで叩くとスナップリングが外せるそうな。
/追記



分解は諦めて、ぱっくり裂けていたブーツを交換します。運転席側のシャフトにはラックアンドピニオンのラック部分のギザギザが見えます。


ブーツにシリコンスプレーを吹いておきましたがそれでもなかなかハマってくれず。工具を使うと切ってしまいそうでひたすら手で押し込んで取り付けました。


本当は付属してくる針金で固定するのですが、グイっと締めたら針金があっさり切れてしまいました。手持ちのホースバンドでちょうどイイのがあって良かったです。


ラック側のセレーション。インターミディエートシャフトのセレーションとはユニバーサルジョイントを介して接続されます。
スナップリングがついてるので外します。


反対側についている蓋を外すと中にナットが見えます。ナットを取り外すとベアリングが見えます。


ナットを取り外してプラハンでこんこん叩くと、今日の目的でありパワステの肝であるロータリーバルブ+トーションバーが摘出できます。
黒いのがロータリーバルブ部分でその右側はベアリング。本来はスポッと抜けるはずなのですが、セレーションの下側が少し錆びて太っていて引っかかりました。800番のサンドペーパーで擦ってやって。


これでするっと抜けました。


特にゴロゴロしてたりはしなかったのでこのままグリス詰めて使おうかと。


抜けた中にはラックのギザギザが見えます。



スナップリングを外してロータリーバルブを抜きます。この中にトーションバーが入っていて、それが操舵で捻じれるとロータリーバルブを通ってパワステフルードがラック内に流れ込み、ラック内のピストンを押してアシストしてくれる仕組みです。
トーションバーのスプリングレートは高く、この状態では全然捻じれる気がしません。


溝に樹脂っぽいリングとその内側にゴムのOリングがハマっていました。



さあいよいよトーションバーが入る鞘を溶接して捻じれないように固定します。
用意した溶棒は2.0mmと2.5mmの2種類。


この溝部分を溶接で埋める感じです。
セレーションやピニオンにスパッタが飛ばないよう養生しました。


2.5を100Aくらいで使ったのですが失敗しました。左側が筒状になっていて溶け落ちてしまいました 。逆に右側はマスが大きいので熱が逃げてきちんと溶けていません。
見た目に騙されて直径の太い左からアークスタートしたのが間違いでした。



2.0を60Aで使って細い方からアークスタート、しっかり溶融池を作ってから筒の方に引っ張っていって引っ付けておしまい、にしたら上手く行きました。二つの母材が均等に溶け込んでいる様子。


本当は一気に全周ビードを引いてしまいたいのですが、熱で歪んだら元も子もないので点溶接→冷やす、を繰り返していきました。点溶接だとえてしてこういう穴が出来て中にスラグが残ってしまうんですよね・・・スラグがあると溶接がつかないので厄介なのです。



もう一度2.5mmの溶棒を使って強めに溶かしてスラグを追い出してみました。すでに繋がっているので2.5mmのアークを当てても熱がうまく分散するため、溶け落ちることはありません。


だいたい埋まりました、あともう一息。


盛りすぎた部分をグラインダー祭りで削り落として整形。ほんとはTIGで綺麗にやりたいところですが・・・アークの溶け込みも深い上に溝部分を埋めてるのでもげることはないでしょう。

のんびりやってここまで6時間。
今日はここまでですね。
ドラさんはかつての日記で「昼休みにやった」と書かれてました(驚)。そしてそのことをすっかり忘れて仕事が終わって帰路につき「なんかステアリングの感じが全然違う、なんで?」とビックリししたそうな。
ドラさんの仕事の速さに改めてビックリです。


おすすめの参考資料:
車_ロードスター_重ステ - 播州迷頁-雅屋-.html
純正重ステに変更した、という雅屋さんの記事。文章が面白いし、うちのwebサイトでは省いちゃう基本的な作業や注意点を丁寧に解説されています。重ステDIYに興味持ったけど、ボールジョイントプラ―なんて使ったことないって方は読んでみると良いかも。





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