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ノイズ対策他、ハーネスの見直し

最初にお断りしておきますが、この話とても長いです。
7月半ばにエンジンルームの配線を見直して以来、エンジンの不調に見舞われていました。


7300を超えたところで本来は8300に設定してあるはずのレブリミッターが作動してしまいます。ログを見ると1万回転を軽く超える信号が入力された様子。
配線を大幅に見直した際にどこかで間違いを犯したようです。ついでだからとどんどん作業を追加するとえてしてトラブルが起き、作業した箇所が多くてトラブルシュートに苦労するのはしばしば経験してきた(Keigoのエンジン載せ替えが良い例で、この時はメーター配線の接触不良でChargeランプが点かなくなりました)ので、異常がないかちょくちょく確認しながら進めてきたのですが、さすがにそんな高回転まではチェックしてませんでした。
考えられるのはREFセンサーの故障、アース不良、ノイズ。加えてうちの車のハーネスは純正ハーネスとモーテックのハーネスのキメラになっているため接触不良を起こす可能性を孕む箇所がいくつもあります。「熱収縮チューブをかけているところはすべて疑わしい」「中で折れているのはあるある」(本物のエスパー診断士:ちゃけさん談)だそうで。
すぐにできるREFセンサーの交換と、アースポイントの清浄を実施しましたが正常化せず。これは長期戦を覚悟しないとです。やや面倒なトラブルを抱えちゃいましたが、MoTeCでログ取れるし1chだけどオシロもあるしきっと大丈夫。完全に回転数同期なのもヒントになりそう。


これがMoTeC M4のハーネスです。
汎用フルコンのハーネスなので当然切りっぱなしの配線がどっさり。これを一本一本繋ぎます。慣れてないと見た瞬間に拒否反応が出るやつですね。20年前の自分もそうだったので、プロに依頼して作業を行ってもらいました。


いつものM4のワイヤリングダイアグラム。今ならちゃんと全部具体的に理解できます。
クラセンつまりREFとSYNCのセンサーは左上です。電源供給はMoTeCから8Vを入れるように指示されていますのでその通りに配線してありました。ただ、クラセンには純正だと12Vが供給されていますので不思議には思っていたんですよね。なぜ8Vなのか?TPやMAP等のセンサー電圧は5V指定ですが、そもそも8Vのセンサーって聞いたことがない気がします。
ちゃけさんに教えてもらいました、5Vセンサーでも12Vセンサーでもとりあえず動作させられるように8Vを用意してあるんだそうな。8Vなら12Vセンサーも動くし、5Vセンサーも壊れない、と。目から鱗でした。


赤く色を付けたのがMoTeCハーネスですが、取り回しが美しくないのと、何より自分でやってないので細部が完全には把握できてなくてずっと気になってました。この際ここもやり直しちゃいたい。
高回転ではコイルやインジェクターによる電力消費量が増えるために電圧がやや低下し、8Vでギリギリで働いていたセンサーが誤作動した?というのが次に疑ったことでした。なぜ今起きたか?はさておき、回転数同期のトラブルとも辻褄が合います。
そこで電源線を、MoTeCから8V供給→エアフロ配線から12V供給(青)に変更しましたが症状は変わらず。原因は他にある様子。
やっぱりノイズかしらん。


ここでノイズについておさらい。

ノイズは静電誘導と電磁誘導によっておきます。
静電誘導は、導体に帯電体を近づけた時、導体内部の自由電子が移動することで導体の電荷に偏りが生じる現象です(参考:【静電誘導と誘電分極】違いと仕組みをわかりやすく解説! - Electrical Information.html)。
電磁誘導は磁石と導線の距離を変えた際に導線内に電流が流れる現象です(参考:電磁誘導とは?仕組みや利用法などをわかりやすく解説! - Lab BRAINS.html)。
コイルは磁力を発生させるため静電誘導に加えて電磁誘導も起こしますので、コイルを使っている部品は全てノイズの発生源となります。特に点火コイルは断続的に高電流を流し、磁場も大きく変化させるためノイズトラブルを起こしやすい部品の代表です。
対策方法は信号配線をコイルの電源線と分離することと、シールド線を使ってノイズの侵入を防ぐことの二つです。


シールド線はECU側のマイナスに繋ぎます。MoTeCのワイヤリングダイアグラムを見るとちゃんとシールドが描かれており、27番(GND)に接続されています。



ちょっとその前に。プラグが抵抗入りであることを確認しておきます。イリウェイなので問題なし。古めの車種だと抵抗なしプラグが入ってることは珍しくないようで、気を付けないといけないやつ。


純正ハーネスは信頼性をどう確保するか考える際の素晴らしい教科書です。純正のクラセンの配線がどう走っているのか、確認してみました。運転席側のハーネスにダイレクトにつながっていますね。間にカプラ―はありません。
うちの車の場合はこの赤く塗った部分が失われていて、クラセン配線は電源・GND・信号の全てがMoTeCハーネスに繋がっています。
配線図を追ってみると水色の(6)が純正ECUとクラセン共通のアースポイント。オルタの上あたり、シリンダーブロックにわざわざ専用のステーを設け、そこに生やしたM6ボルトにアース線が固定されているはずです。ないがしろにされがちで、よくトラブルの原因になっています。たまに磨いて226吹いてメンテナンスしておくといいかと。


写真はNA6CEのパーツリストから。
運転席側のハーネス、助手席側のハーネス、そしてダッシュボードの中のハーネスは全て一本に繋がっています。67-010Aがそれで、フロントハーネスと呼ばれています。フロントハーネスにはECUも接続されており、クラセン信号はクラセン→フロントハーネス→ECUと送られます。

余談ですが。この絵ではワイパーモーターが運転席側に、助手席側にマスターシリンダーが描かれています。これ、ロードスターじゃなくミアータですね。


クラセンの電源はEGIメインリレーから供給されています。


アースはX31コネクタを介して前述のエンコパ内の(6)に繋がっています。
X31コネクタにはECUのアースも接続されており、GNDが浮かないようになっています。フルコンのアースも同じところ、つまりエンジンに落としておいた方が無難ですね。センサーを追加する際もGNDをフロントハーネスのGND線のどこかに繋ぐべき。
(参考:GND(グランド)が浮く,ってどういうこと? _ 技術者視点で日々の生活をちょっと豊かに.html


エンコパにはもう一本ハーネスが走っています。バッテリーやオルタネーター、スターター、エンコパ内のヒューズボックスが接続されています。こちらはエンジンハーネスと呼ばれています。


コイルの配線はどう走っているのかを確認。黒色カプラX-15を介して(F)=フロントハーネスに接続されています。


電源はイグニッションスイッチ(キーシリンダーですね)を介してメインヒューズブロックに=エンコパのヒューズボックスの裏側から電気をもらっていました。GND線はコイルから生えている丸型端子でそのままエンジンにアースされていますね。一つ上の写真の(12)がそれです。

クラセン配線とコイル配線はどちらもフロントハーネスに繋がってはいるものの、両者の電源・GNDポイントは分けられているということが分かります。並走区間も無いようにデザインされているのかも(自分のハーネスはあちこち切り刻まれてもう確認のしようがないので、だれか教えてください)。


もしかしてうちのはコイルの電源線とクラセンの配線が並走してないだろうか、と確認してみたところ、コイルの電源線は純正のまま(赤)でした。GNDはシリンダーヘッドとバルクヘッドに繋いであります。電源・GNDともクラセン配線とは切り分けられており、どうやらここからのノイズの侵入はなさそう。
ちなみにクラセン配線は一度ミッションの上まで下げてからUターンさせています。振動対策です。たまにクラセン配線をバルクヘッドのブレーキラインに固定しちゃっているロードスターを見ますがいずれ切れて自走不能になりますよ。

どうやらコイルからのノイズはシロ。
最近交換した100Vインバーターのノイズかも?(MoTeCと並んで設置されてますし)切り離してみましたがこれもシロでした。
オドメーターも最近追加したものなので疑って取り外してみましたがこれもシロ(ただ、オドメーターを取り付けるとMoTeCの車速入力にノイズが乗るのは確かで、これも追及する必要がありますが、このトラブルとは無縁そう)。
一体、どこからノイズが侵入してるのか???


で、例によってちゃけさんが気づいてくれました。
NB Refセンサーを取り付けた当初は赤線のように配線を取りまわしていました。クランクプーリー横からまっすぐ上に立ち上げて、水のアウトレットに沿わせ、助手席側をぐるっと回ってエンジン後ろに行ってMoTeCハーネスに接続です。これを7月の作業で青に変更していました。
変更した理由は、赤だと、エンジン〜ボディ〜エンジン〜ボディ、と動く部分と動かない部分を2度も渡るので断線の危険が増えるため。特にラジエターのアッパーホース部分は結構ふるえます、大森の水温センサーがこれまで何度トラブったことか。追加メーターならまだいいんですけど、REFが切れると自走不能になるので大問題。


NB純正ハーネスの取り回し。インテーク側を回っていますがインジェクター配線とは少し距離を取っています。これを踏襲して変更した・・・つもりだったのですが、どうやらミスがあったよう。

2023.12.17 追記


NB2の配線取り回しはこうなっていました。
/追記


インジェクターはソレノイドバルブ、つまりコイルなのでそれを避けてスロボの下側を通したのです。んが、スロボ下にはオルタネーターというさらにでかいコイルがいるんですよね。純正を踏襲したつもりの安心感と、オルタが遮熱板の下になってて見えないのとで、見事に見落としていました。
オルタネーターなら回転同期で特定回転数でノイズトラブルを誘発するのも辻褄が合います。
試しに純正クラセンからREF信号を出すようにして試走したら正常化しました。再度NB REFセンサーに戻すと再発。再現性も確認できたのでトラブル箇所はここで確定です。犯人はお前か、オルタノイズ。
接触不良の可能性もありましたがそうじゃなくて良かった(場所の特定がめんどくさい)。


もしかしたらオルタネーターが壊れていて、ダイオードが短絡/解放になっていてそれが強力なノイズを発生している可能性もあるかと思い、オルタネーターの電圧波形を見てみました。B端子とアースにそれぞれオシロのプローブを接続しています。きれいなリップル波形ではないのですがちゃけさんによるとこの程度なら正常だとのこと。それこそ点火コイルやインジェクターで電力消費されてるので教科書的な波型にはならないんですかね。


直流モードだと縦軸を14v以上にしないといけないため、波の高さを見にくくなります。交流モードだと波の高さだけを引き伸ばして表示できます。


マツダ6のオルタネーター波形も見てみましたがこっちもきれいじゃないです。ロードスターよりさらに多くの電装品が動いているんでしょうね。


おまけ。SYNCセンサーは純正のクラセンを使っているわけですが。これを抜き差ししてみたところ。不安定になりますがエンジンは停止しません。どうやらMoTeCはREF信号が欠歯の場合、シーケンシャル噴射でSYNC信号を失うとグループ噴射・同時点火に移行する、もしくはその直前のSYNC信号のタイミングを使い続けることでエンジンを回し続けているようです。SYNCがない状態でも始動できます、その場合はSYNCのリファレンスは全くない状態ですから、グループ噴射してると思われます。
REFがなければ当然エンジンは制御できませんが、SYNCがなくても欠歯でクランク角度が分かる場合はグループ噴射・同時点火なら4サイクル2回転の裏表は関係ないのでエンジンはかかる訳ですね。


Sync Posというパラメータがあります。SYNCがある状態だと62%、カプラ―を抜くと51%と表示されました。


Sync Positionは欠歯のREF+SYNCの場合は、REF INDEXからREF INDEXまでに対して、Sync信号からREF INDEXまでの時間が何%になるかを表している様子。REF INDEXとは欠歯の次のREFです。


長さを測定して計算したら確かに62%になってました。


ノイズがREF信号に侵入した際のSync Posは異常値を示していました。


MoTeCハーネスのコルゲートチューブを剥ぎ、バラバラにしました。通す位置もバルクヘッド上部から下部に変更します。純正ハーネスを観察すると分かりますが、必ずミッション上側やシリンダーブロックの高さまで下がってからボディに渡っています。振幅幅の狭いところで渡すんですね。これを踏襲します。
クラセン配線は電源・GND・信号線の三本がREF、SYNCそれぞれまとまってシールドの被覆に収められています。REFの線をNB REFセンサーのカプラ―まで伸ばしました。


MoTeCハーネスのクラセン配線に直接カプラ―端子を接続しました。
ハンダを使わない派だったのですが、端子の抜けが心配でちょっとしみ込ませています。もう少しまともにかしめられる工具を買うことにします・・・。


スッキリ。純正クラセンのREF配線は使わないので1本空になっています。


NB REFセンサーも同様にMoTeCハーネスに端子を接続。
インジェクター配線と並走させた状態で試走してみましたが問題ありませんでした。
クラセンの電源線は元の8Vに戻してしまいました。12Vを入れるとするとMoTeC側で配線を切断して入れるようになるんですけど、シールドをいじりたくないのと配線に接続部が増えるのが気に入らない。別に一本シールド線を足すと配線が太くなるし美しくないし。

トラブル自体はもちろん嬉しいものではないのですが、ずっと引っかかっていたものが片付いてすがすがしい気分です。いくつも勉強になりましたし、1か月たっぷり楽しめました。
でもこうやってトラブルを楽しめるのは助け舟を出してくれる友人たちのおかげ。特にちゃけさんにはいくら感謝してもしきれないです。
いつもありがとうございます。





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