燃調について

私の車はキャブなのでIJとは多少違うところもあるかもしれません。それでも基本的な考え方にはそう違 いはないと思うので参考になれば幸いです。

燃調とはガスの量を変えることですが、実際にはプラグを見るなり、空燃比計を頼りにするなりして変え てゆきます。最近は安価な空燃比計がトラストから出たりして身近になりましたが、まだまだ持っている人 は少ないでしょうし(もちろん私も持っていない(^^))やはりプラグは基本です。IJでは中心の碍子がいわゆる キツネ色に焼けることはないです。中心碍子のキツネ色の正体は一度ついたカーボンが最適な空燃比で焼き きれた名残だと思うのですが、IJ車にはO2センサーが付いており、定速走行時(低負荷時)には理想空燃 比(14.5:1)となるように燃料噴射量を調整しているため、中心の碍子にカーボンがつくことは無いのです。

が、キャブはきれいにキツネ色になります。ただしそれは新品のプラグを使った場合のお話。新品でないと(一 度黒くなると)どうしても焼け方がきれいに出ずに灰色っぽくなります。薄い場合は、(新品なら)さらした ような白になりますので、色が近く、違いが分かりにくいかも知れません。仕様を変えた後のセッティング であれば、新品のプラグが絶対必要です。

プラグチェックでは碍子の色だけでなく、中心端子の表面の状態を見ましょう。ぷつぷつがついている場 合は、それがプラグの端子が溶けた物かではないかどうか注意が必要です。爪でこすってみましょう。新品 のプラグなら端子の角をチェックして、すこしでも丸くなっているようなら薄すぎる可能性があります。街 乗りをしたりアイドリングをしたりすれば、周辺電極はカーボンがついているでしょうが、中心電極のどの あたりまでカーボンがついているのか、カーボンのついている境目がはっきりしているのか、ぼけているの かは大事なポイントです。調子がいいときは、中心電極にはほとんどカーボンはなく、周辺電極に薄くカー ボンがあって、カーボンの境目はぼけていると思います。

カーボンがなければいいのかというと、必ずしもそうではありません。時には全く焼けずに新品みたいな ときもあります。そんなときは燃えるものがない、ものすごく薄い状態です。何度もチェックして、走りが どういう状態のときにどういうプラグになるのか学びましょう。プラグチェックの基本は3速まで全開にし て、レブでいきなりエンジンストップです。クラッチは切ります。これがいわゆるプラグチョップです。ブ レーキのサーボがきかず、ウインカーがつかず、超重ステになるので気をつけましょう。やる前にできるだ けプラグをきれいにして状態を覚えておきましょう。

ところでプラグのクリーニングはバーナーで焼いたり、ワイアブラシで擦ったりして行いますが、必ずしもそれで復活してくれるとは限りません。一度かぶったプラグは元の性能は基本的に発揮してくれないと考えた方が良いと思います。NGKなら結構戻ってくれますが、DENSOのプラグはどうしても戻らないように思います。
それでも、端子はきれいになりますが、碍子はカーボンが取れる以外はあまり変化しません。アセトン系の溶剤につけてから焼くと時間を掛けずにきれいになります。
#最近はホームセンターでもアセトンを売っているようになりましたね。塗料のコーナーに行けば有ります。遅揮発性のパーツクリーナーとして使用でき、値段の違いは・・・ふふ。一缶持っていて損は無いですよ。

また、熱価について。最適な熱価はエンジンと、走り方によって違います。電極が溶けない限界まで低い 熱価がよいのですが(かぶりにくいから)実際には溶け方がひどければブローに繋がるので(電極が溶けて 垂れたらピストンに穴があく)マージンをとって高めの熱価を使う事が多いでしょう。

プラグの熱価の違い と燃調の違いによる焼け方は見分けがつきにくく、私の場合は燃調のセッティング時は、プ ラグ熱価は変えずに行うようにしています。ちなみに常にNGKの8番を使い、夏場のサーキットは9番も使い ます。材質はイリジウムを使っています。融点が高く(確か2000℃)ほとんど燃焼温度に近いため、溶 ける心配が減ります。正常な燃焼では溶けないので、もし電極に溶けたことによるぷつぷつがついていたら 「何か問題があるのでは」と疑います。
こんなとき普通のNGKではブローの不安があり、またセッティン グもしにくくなります。
着火性能については、全開走行では普 通のプラグと大して違わないと思います。高いプラグを使うのはただ単にブローの危険回避です。本気でプラグで燃焼を改善したいと思うなら極細の周辺電極を持っているレース用のプラグを使用すると良いでしょう。電極が√形状ではなく/形状の奴です。高いよ。

さて空燃比セッティングの基本的な考え方についてです。

1 点火時期と空燃比
最適の点火時期でもっとも濃くなり、理論的にはそれより早くても遅くても薄くなります。全領域で大き くずれればはっきりおかしいとプラグでも分かります(燃調を変えても思うようにプラグが変化しない)。全領 域で点火時期が狂っているのでなければ、きれいに焼けているのだけどなんか一部薄い感じがするなあ、く らいです。常日頃プラグを見慣れていて、新品のプラグを使った場合には分かりやすいです。点火時期のほ んの少しの変化はプラグでは分かりません。つまりプラグでは点火時期は詰められず、点火時期の少しの狂いが燃調に与える影響は少ないことになります。

2 カム開度・圧縮比と空燃比
高回転ではカムが大きくなると空気を多く飲めるので、当然ガスは多く必要になります。IJならマップを つくるなかではっきり分かる筈。ならばキャブだとジェットが大きくなるか、というと流速が関係してきま すので一概にそうでもありません。キャブのガス供給は負圧により、フロート室からガスを吸い出すことで なされますが、負圧の強さには流速が関係してきます。ハイカムにより流速があがった場合、ジェットは必 ずしも大きくならず、むしろ絞れることもあります。ちなみに圧縮比とカム開度が密接にかかわっているこ とは他の項で書きました。圧縮比のアップもカム開度と同様、ガスはより多く必要になりますが、キャブで は必ずしもジェット交換の方向はひとつではありません。エアジェットやベンチュリー径との関係で様々に変化して来ますんで予想が付かず「出たトコ勝負」っす。

3 排気系と空燃比
排気系を抜けのいいのにした場合薄くなります。キャブでもジェットが大きくなります。ただノーマルエンジンに普通の車検 対応のマフラーではほとんど変化ありませんね。チューン度合いが進むほどエンジンならマフラーの影響量はかなり大きくなりました。

4 ジェッティング
メイン系にパイロット系は影響を与えません。パイロット系はバタフライ付近の小さな穴から吹いていま す。アイドリングはファンネル側の2個の穴から空気が入りエンジン側の1個の穴から出ます。もう少し バタフライが開いてくると真ん中の穴は吹く方に回ります。さらに開いてしまうとパイロットからは吹きよ うがなくなります。そこからはメインのみです。

全開時にメイン系はどこの回転域から吹いて来るのか、というと3500回転からです。一度メインジェ ットを思いきり大きくして、今ついているのの20番上げぐらいで走ってみると分かります。シャシダイでや ってみたところ、4000で大きく谷ができ、高回転も思いきりへこみました。乗ってみるとちょうど点火 リミッターが効いたときのような感じで、バババババ・・・と変な音がして前に進んでいきません。そこで少し アクセルをもどすと、すっと前に出ます。

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