キャブの吸気音

キャブ車といえばあの独特の吸気音が一つの魅力です。性能云々、もう関係なしでかっこいいと思ってしまいます。音を言葉で表現するのは難しいですが、思いつくまま書いていきましょう。ちなみにここでの話は本当に音だけ、性能はまるで無視です(はは)。

ソレックスとウェーバーという2大巨頭について。ウェーバーの方が高い音質で、かあふっ、と乾いた感じの音です。ソレックスは少し湿った感じで、ごあふっ、という感じ。ウェーバーの方がハイチューンの雰囲気が出ます。音はウェーバーの方がいい、というのが定番の意見ですが、ハイチューンのエンジンをソレックスで回したときの重たく腹に響く吸気音もなかなか迫力があります。まあ、よく言われていることですし、聞いたことのある人も多いので詳しくは書きません。ちなみにウェーバーにノーマルで付いてくるファンネルはステンレス製でラッパの開き加減が小さく見た目のしょぼさもさることながら、音もいまいち。低めで、ウェーバならではの艶がありません。ソレックスと変わらない音質で音の大きさもソレックスより小さいようです。

バイク用キャブであるFCRは、バイクの世界での性能は折り紙付きですが、音に関して言うなら、私ははっきり言ってかっこ悪いとおもいます。全開での音質はそこそこですが(があああー、という感じ)、元々バイク用なので径が小さく(41だっけかな?)迫力に欠けます。キャブの少しバラついた、ラフな 感じが好きという人が多いですが、FCRは非常にスムーズな感じで下から上までつながっていく吸気音です。それは裏返せば、乗っても安定している、扱いやすい、と言うことでもありますが。ほとんどインジェクション車と同じ感覚で乗ることが出来ます。これは良いところでもありますが、味がないと言えば無い。またこれが一番気に入らないところなのですが、スライドバルブのため、ゆっくりアクセルをあけていくとひゅーーとか、しゅきーーん、というすきま風のような音がします。おまけにアイドリングではスライドバルブの摺動部に仕込まれたベアリングがかしゃかしゃ鳴って好みが分かれるところです。バイク乗りでもこの音を嫌い、未だにフラットバルブではないCRを好んで使っている人もいます。私の所有するブロス650にもFCRのキットの設定がありますが、音が嫌でノーマルキャブをいじりまくって使っています。

ちなみにここで書いているソレックスは44、ウェーバーは45です。40は眼中にありません。かっこわるすぎ。乗りやすいですが、見た目、音、もしょぼいし、キャブの魅力である荒々しい加速とも無縁です。

エンジンの仕様によって出る音は全く変わります。ウェーバーやソレックスは走っているとある回転域で、ががららら、と言う感じの断続的な音をたてます。がららら、という音はハイカムを入れるとより大きくなり、かっこいいです。ハイカムハイコンプエンジンだと、がんっ、がしっというファンネルへの吹き返し音も激しく、エンジンをかけた瞬間に周囲を圧倒します。ハイコンプだと全体的にエンジンから出る音が一段高く、めりはりがあります。

50のソレックスの音は44とは全く違います。ものすごい迫力で、44は足元にも及びません。音の感じはもはや言葉で説明不可能で、およそ空気の流れる音とは思えません。

吸気管径だけで何故こんなに音が違うのでしょう?
吸気管自体の大きさの影響はもちろん大きいのですが、もう一つ理由があります。ソレックス、ウェーバーにはベンチュリーが付いています。吸気管径を絞って流速を上げ、ジェットからガスを吹き出させるためですが、この径はエンジンセッティングの上で重要です。同じエンジンで40,44,50とキャブを変えた場合、極端な話ですが吸気量はエンジンによって決まるので同じだけの負圧を発生させるためには、ベンチュリーの絞り率をキャブの口径が大きくなるのに伴い大きくしてやる必要があります。例えば44に39ベンチュリーの車で50を無理矢理使うとすれば42から43あたりまで絞ってやることが必要です。実はこの絞りががららら音を生んでいます。50のキャブ付けた86なんか、いい音しますよ!吹かすとががんっ、がんっという感じのとんでもない音がします。

一方で、ビッグベンチュリーはまた違った音がします。空吹かしでは普通ですが、踏んでいくと高回転でしゅきーん、というFCRに似た音がガアアォーという音に混じり、いかにもハイチューンという感じで、これはこれでいい。インナーベンチュリーとバタフライバルブの奏でる風きり音は変わりませんので、二重奏になるわけです。これが、ベンチュリーが全くなくスライドバルブキャブのFCRではしゅきーんというすきま風の音だけしかしないのです。FCRの場合は41パイという径の小ささも影響していると思いますが。
キャブの音を変えるのならショートのカールファンネルもいいです。吸気音が全体的に高くなりかっこいいです。しかも、短いのでスペースが広く、エアーフローメーターを使いやすいというメリットもあります。ファンネルの形は結構重要で入り口の大きい方が高めのいい音がします。AE111用の4スロ流用(45パイ)の86にえらくでかいファンネルが付いているのを見たことがありますが、吸気音自体がとても大きい上に音質もかん高くて格好良かったです。一緒に走ると自分の吸気音が聞こえないくらいでした。もっともこの車の場合、カムが288でセッティング自体もかなり詰めているから、ということも大きいのですが。

実は、ファンネルから出てくる音は吸気音だけではありません。吸気音と混じってしまい聞き分けることは難しいのですが、バルブがシートリングに当たる音や、カムがリフターを押す、というよりひっぱたく音が混じっています。パーツを変えたときならその違いに簡単に気づきます。チューニングエンジンの音を聞き慣れてくると、吸気音や排気音でエンジンのチューニング具合がだいたい想像出来るようになります。ノーマルのHLAからソリッドリフトのリフターにするとか、リフトの大きいカムを使うとか、バルブのシートカットをするなど、エンジンのチューニングをするたびに吸気音というかファンネルからの音は、かん高くかっこいいレーシングサウンドに近づいていきます。

ついでに排気音についても少しだけ。一般的にキャブ車のアイドリング音はインジェクションに比べてかなり静かでしょぼいです。なぜか?理由の一つは燃調が濃いためです。インジェクションだと空燃比フィードバックで14.5になってますが、キャブではだいたいもう少し濃く、排気音はぽすぽす、とか、すぺすぺ、という音が混じります。キャブ車でプラグの周辺電極が黒くなるのはアイドリング付近の濃さの影響が結構あります。アイドリングしなければあまり黒くなりません。キャブでアイドリングを薄くしてやることもできなくはありません。パイロットを絞ると回転が落ち込んでいくので、その分アイドルアジャストを締め込んでやれば良いだけです。しかし副作用で、吹け落ちが悪くなるなどをはじめ、調子が悪くなります(わはは)。キャブ車は全開時の排気音もインジェクションより少し丸いかな。なかなか「ぷあああん」という音を出すのは難しいです。インテグラタイプRなんかノーマルマフラーでそういう音がします。マフラー自体の作りがいいのと、ノーマルでもエンジンセッティングが詰めてあるんでしょうね。あれをわざわざいじって、ぶおおおお、とまるでターボみたいな、ただうるさいだけのマフラー付けている奴の気が知れません。

キャブ車に限ったことではありませんがハイコンプエンジンでは排気音に弾けるような音が混じり、音質自体も高く、固い感じになります。ハイカムはアイドリングがばらつき不整脈が出るのと、アフターバーンが出て派手な感じになるのを除けば音質自体はあまり変わらないようです。但し直管マフラーの場合 です。

私は直管マフラーが大好きです(おいおい)。音にメリハリがあって楽しいし、車も明らかに速くなる。でもうるさいのは嫌い。キャブの音が聞こえにくいし、ノッキング音も分かりにくいから。だから今は(かつては超爆音マフラーも付けてたけど)タイコだけは出来るだけ大きくしてます。それでも仕切のあるタ イコよりはけっこううるさいかもしれませんが、そこらの兄ちゃんよりはかなりジェントルです(ほんと?)。排気音もかん高いのが理想です。フェラーリって何であんなにかっこいい音するの?やっぱりエンジンの違いなのかな。

キャブにしたならアイドリングは静かになるんですし、やっぱ直管でしょう!!インジェクションで直管にするのとは違い、マフラーの効果は十分体感できます。径を50から60にしたときの違いやタイコの違いはもちろんのこと、出口の違いまで分かりますよ。同様にタコアシの違いも大きく出ます。4−1と4−2−1の違いも大きくなります。たぶんロムチューンやフルコンできちっと燃調をとってやれば同様のことが起きるのでしょうが。キャブなら少しパーツを変えたときでも燃調を変えるのは簡単ですよ。因みにタコアシ入れただけでメインが15番ぐらい大きくなりました。

さあ、みんなでキャブにしよう!
エンジンルームもかっこいいぜ!キャブにしてから一年ぐらいは、いつも意味無くボンネットを開けて眺めていました。

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