選択基準人から家を買った話を聞いてて面白かった覚えがあんまり無いので、書いてみようと思って、はてどう書いたら良いものやら。本音言うとちょっと書きにくい、そんな家の話第二段です。だいたい自分の家の事など話してる方も良くは知らなくて、突っ込んでみても答えが返ってくる方が少ない。金の算段話は良く知ってるだろうしこっちも聞きたいけど、ちょっとねぇ・・・。まあ、やっかみでこっちがどこか斜に構えちゃってたのが、話が盛り上がらない一番の理由かも知れないです。 家が欲しいなと思ってから最初に持った幾つかの疑問への、短絡的な答えが欲しくて本を読み始めたら。すぐに家に関する読書それ自体が面白くて止まらなくなり、これまで読んだ本は100冊以上。ほとんどは斜め読みですが、その中で拾った紹介してみたいと思う知識だけでも、ちょっとした本が出来てしまいそうなボリュームになります。無知なだけに乾いたスポンジ状態です。 とっても面白いんですよ。 もっとも、本屋で手に取った本で疑問に応えてくれたのは皆無で、それこそベニヤ板みたいな薄っぺらな知識を積み重ねた、ぱっと見栄えだけ綺麗な本ばかり。だんだんとそこに建築業界の商業的な意図を感じ始めたのは僕だけでしょうか。知りたかったのは例えば「家は何年持つのか」「メンテナンスはどうやるのか」などのごく単純な事だったんですが。 家を買おうと思う人。どうか沢山本を読んでください、図書館で。 そうして始めた読書は、寺社仏閣古民家の伝統工法やら他の国の住宅、大規模建築と、自分の家にはおよそ関係なさそうな方面に広がりを見せていき、その結果いつしか欲しい家がどんなものか明確になった・・・ここまでが前回でした。 ![]() 特に面白く読んだのが家にまつわるエッセイで、著者と考えが合う合わないは関係なく人それぞれの取捨選択の考え方が興味深いです。ちなみにこの手のエッセイは建築工学コーナーには置いてないので探し出すのにちょっと手間掛かります。 というわけで今回は、散々判断基準を仕入れた結果、どんな「中古住宅付きの土地を探すのか」をネタにしてみます。 まずは予算です、ああ夢の無いこと。 どれだけ出せるかではなくどれくらいだったら気持ち良く出せるか?これが僕の予算ですが、ざっくり言うとこれがまあ・・・1000万円。もちろん土地建物込み。(笑) いや笑い事じゃない、1000万って大金ですよ。 バブルで痛い目見てもいまだに農耕民族由来の土地信仰からどこか抜け出せてないんですかね、この国の人は。こと土地の事となると普段の貧乏くさい金銭感覚をあっさりどこかにすっ飛ばしちゃう。3000万だのうちは4000万だの、僕はもったいなーいって思っちゃうんですけど。 まあさすがにこの予算では土俵に上がれないのはスーモ辺り見てすぐ分かった(ウマい事言ったかな)のでしぶしぶ増資。1500万だと「まあこんなもんかな」、1300万だと嬉しいなって感じ。 お金の話をしますと、勤め人な僕は会社から社宅扱いで住宅が与えられるので、新築を買うメリットはほぼ無いです。社宅代の倍額以上を住宅ローンとして毎月払い続けて、払い終わった時には家の価値はゼロ、そこで売却したとして残るのは土地代だけ。仮に4000万払ったとして1500万が手元に残る感じ。オレノ2500万ドコイッタ。 定年まで社宅住まいで現金で貯めておいて、退職時にマンションでも購入する方が多分お得。おまけで狭小でローンが組めず格安の土地を現金で買い叩いてイナバガレージ置いておくと完璧。 でも耐用年数を経た中古住宅となると、上モノは元々タダみたいなもんなので随分気が楽なんです。現金同様、土地の価値は経年変化しないので、どちらも寝かせておいてもそう負担にはならないですから。毎年の固定資産税はちょっと痛いけど、それも建物の減価償却が終わっていれば土地の分だけ。サラリーマンの悲しい所でどこに異動になるやら分からず、買った家にずっと住めるとは限らないのです。うっかり貸してしまうと自分が戻りたい時に入れなくなるし(家主都合で追い出すと敷金払い戻しと引っ越し費用こっちもちでざっと50万位掛かる)。ちなみに土地だけ買っちゃうとローンは組めないわ、固定資産税は割り増しになるわで大変。 でもね。 新築イラネな何より重要な理由が、カッコいいと思うものがハウスメーカーにも地元工務店にも無かったという事。欲しい家が無いんです。建築家の作品の幾つかは芸術として素晴らしいと思うけど、僕の目には家としては映らない。何しろ住宅を自分の所有物として捉えてから後、琴線にビンビン触れてきたのは新築どころか中古住宅とも呼べないかつての「町屋」だったのでした。建築基準法の不適格建造物であり、もう新たに建てる事は絶対に適わない町屋の家並み。その端正な美しさといったら、もう。伝統工法特有の躯体の現しはもちろん、水回りの切り分けや通し土間といった建物構造の合理性も魅力的。手入れと補修がしやすい構造で、住み手がそれを実行してきたから100年を超えて建ってられるのですね。 料亭やら蕎麦屋やら、再生された町屋の魅力は以前から感じてましたが、あくまでも商業施設と思ってました。まさか住まいとして考えた際にもそこから出られないなんて。 僕の故郷は北海道であり、家を持とうとしているのは札幌市内。小学生の頃に野幌の100年記念塔を見に行って、北海道がたかだか1世紀ちょっとの歴史しか持たないのを知ってびっくり、うちの祖先はどっから来たのだと両親に聞いたのを覚えてます。 この歴史の浅い札幌にもちろん町屋なんてない訳で、町屋そのものが欲しいって話ではなく(欲しいけど)、町屋の魅力を中古住宅の再生に生かしていきたいなと。 さて現実の物件探し。探し始めて家が本当に「不動」だという事を思い知ってます(笑)。この建物がこっちの土地に建ってたらなあと思う事が結構多くて。建物が建ってる地盤の補強は現実問題として不可能なので、中古住宅選びでは土地の選択で新築よりさらに慎重な判断が必要。建物の補強は後から幾らでも出来ますから。 豊平川と石狩川が造り出した巨大な扇状地に出来た都市が札幌市、大半は不安定な地盤に乗っています。国土交通省が公表しているハザードマップからリンクを辿ると各地の防災マップに飛べます、札幌周辺は予想最大震度が細かく記載されているのですが、強固な地盤はほんの一握りしかないのですねえ、これはかつての支笏火山の火砕流で出来た地盤や、川が削り残した地盤です。レア物ですけど意外にも地盤強度は地価に影響していないので、時間掛かっても丈夫な土地を見つけたいところ。 それと一般的な土地建物セットの傾向と僕の希望は矛盾してるみたいで、これも選択幅を狭めてます。車を置きたいので(それも沢山)土地は広く。家は逆に小さくシンプルに。でかい家は修繕費も光熱費も高くなるし、複雑な形状の家は耐震強度面でも不利。そもそも冗長なのは大嫌い。想像と予測を軽く超えて変化するだろう将来に備えて、スペースにちょっとの余裕は必ず必要だとは思うけど、その余裕を含めてミニマムとしたいのです。 でも地代の高い札幌市内でそんな物件なかなか無いのです。小さい家は小さい土地に仕方なさげに建ってます、高い金額出して買った大きい土地にわざわざ小さい家建てないですよねぇ。 まあなかなか見つからない位の方が買い物は楽しいし、見つけた時に迷いが無いだろうと実にのんびりしたものなのです。 TOPへ |