燃調の話の中でプラグについては少し触れましたが、気がついたことがあったので別にページを設けてみました。

プラグチェックについて

走行会に行ってきて、そのときの勝負用にと、新品のNGKのイリ8番を用意していき、行きの高速道路 でそれに替えました。もともとついていたプラグは一冬の間セッティングに付き合ってくれた、同じNGK プラグでした。

で、サーキットについてからチェックすると、セッティングはほぼ出ているはずなのでキツネ色を期待し たのですが、どういうわけか周辺電極にわずかにカーボンがある以外は完全に新品のままで、しかも全く焼 けていなく、色の変化もありません。良く見てみると碍子の光り具合は少し鈍くなっているようですが、端 子はきれいなものです。見る限りは超薄すぎの感じなのですが、今までセッティングしてきた感触から考え るとどうしても納得がいきません(今までのプラグはキツネ色でした)。

しかしやってみないと何も分からないのでいろいろとジェッティングを変更してみました。メインを18 0から190に上げ3周ほど走ってピットに戻りプラグを見るとやっぱり新品のまま。それ以上大きいメイ ンを持って来ていなかったので、エアーを240から200に落としてまたコースイン。今度は7000辺 りで、濃いときに出るババババ・・・と、ふんづまる様な現象が出ました。結局もう一度エアーを240に 戻して走行会を走りました。1時間近く走った後でもプラグはやっぱり新品のままでした。加速はメイン1 90のエアー240が最も良かったようです。

トラストの空燃比計は最初のセッティングが全体的に見てもっともいい値を示していました(空燃比計の 値は普通に走行しているとめまぐるしく変化するのですが、全開加速時にはある程度数値が一定になり、再 現性もありますので、わりと正しく評価できます)。190だとA/F12より薄くならなかったです。
油温水温の上昇もいつもと同じで、全く正常。はっきり言って調子はいいのだけど、どうしてプラグがこ うなるのかなあ?

考えた結果が、「キツネ色」はいったんついたカーボンが焼き切れた跡なのではないか?ということ。だか ら、キャブ車ならカーボンがつくような領域で空燃比フィードバックがなされるIJでは、キツネ色になら ないのではないか。

もしかすると新品プラグを全開時にのみ使った場合のプラグチェックは、碍子がてかっていなく、端子が 紫色でなければいいのではないか、後はデポジットに注意を払えばいいのでは、とそんな気がしています。


プラグの種類について

一昔前には自作プラグチューンというのが流行ったそうで、側面端子に穴を開けたり、スリットを入れた りしたようです。また、聞いた話で、端子にわざと傷をつけると火花が飛びやすい、というのがありました。 実際レースで行っていた人もいて、効果はあるけど寿命が極端に短くなるとの事でした。

私のプラグは、イリジウムの中では安いNGKとHKSを好んで使っていますが、新品でもプラグギャッ プが一本ごとに結構違います。そのくせ、「調整はしないでください」なんて書いてあります。これは中心電 極が細いために調整時にトラブルを起こす可能性が高いから、と考えていいのでしょうかね。それとも、前 述の話ではないですが、側面端子に多少なり傷がつくことにより、寿命が短くなってしまうので、というこ となのでしょうか。まあお構いなしで調整してしまいますが、なぜ調整不可としているのかも考えてみた方 がいいでしょう。NGKイリジウムの出荷状態のプラグギャップは、おおよそ0.7ミリ強で、中には0.6 ミリ台のもあります。まずは、せめて全てが同じになるよう調整してやりましょう。

レーシングプラグというのもあります。以前は高圧縮車やレースではレーシングプラグがよく使われてい ました。側面端子がまっすぐでマッチ棒の細いような形をしたプラグで、着火部が燃焼室に突き出していま す。少し前(3年前くらい)にレースでよく使っていたタイプですが、今のN1のシビックでは「溶けるから」 と言う理由で使っていません。レーシングプラグは中心電極が細く側方電極とともに白金で出来ていますが、 燃焼室に突き出している分高温にさらされるので、要求される性能も通常形状のプラグよりシビアなのでし ょう。

サーキット用には、溶ける危険を考えるとイリジウムプラグで決まりでしょう。もし溶けて落ちたらピス トンに穴があきますから。

プラグのメーカーは数多くありますが、外国製のものは今ひとつ信頼性に欠けます。チャンピオンのプラ グは真ん中から折れたこともあるそうです(恐ろしいですね・・・)。個人的には国産品とボッシュしか信用していません。


プラグギャップについて

点火系を考える場合重要なのは、火花が飛ぶかどうかと、飛んだ火花が混合気に着火できるかどうか(点 火性)です。

圧縮を上げると火花が飛びにくくなります。圧縮比が10や11程度では問題無いですが、12を超える とさすがに火が飛びにくくなるようです。ギャップを少なくすることで火花を飛びやすくしてやる事が出来 ます。空燃比は10前後で一番火花が飛びやすくなり、回転数や負荷が高いほど火花は飛びにくくなります。 燃調が薄ければ火花が飛んでも、混合気に火がつきにくい訳ですから、ビッグベンチュリーではつながり のトルク感に影響が出る可能性があり、ギャップを広めにするのがいいかもしれません。かつて、排ガス規 制が強まった時に車検仕様にCO・HCを調整するために燃調を薄くすると失火が多い為に、ギャップを広 くするのはよく行われました。この頃にプラグギャップの標準的な広さはそれまでの0.8〜0.9ミリから、 1.1ミリに広がりました。また外車修理の場合、ノーマルエンジンでもギャップ調整でアイドルのミスファイア を防ぐことがあるそうです。濃い場合はプラグ周囲の温度が上がらず(消炎層ができる)点火性が落ち ます。ただ高回転や高負荷時は火花が飛びにくい状態ですので、ギャップを広くするのは逆効果です。


熱価について

熱価決定の考え方としては、燃焼温度にあわせて端子が溶けずしかもカーボンがたまらないような熱価を 選ぶ、ということです。圧縮や回転数、燃調や点火時期で燃焼温度が変わります。が、ある程度決め打ち的 なところがあり、こんなエンジンでこんな使い方をするならこの熱価、という考え方で基本的には決めてい きます。もちろんこの考え方ができるのはセッティングの出ているエンジンであることが前提です。 例えば、私のエンジンでストリートも使うのなら7番ぐらいがベストかな。サーキット用なら8番。夏場 の走行会なら吸入空気温が上がり、油温の上昇から燃焼室温度が上がりやすいので9番。もし圧縮が12ぐ らいまであれば10番も使うでしょう。回転数が8500を超えるようなら圧縮が11でも10番です。ち なみにNIシビックでは10番か11番が使われています(11番というのは市販されていません)。シビッ クはノーマルエンジンでも9200回転ぐらいまで回りますので納得が行きます。イリジウムなら7番でも 溶けはしないのですが、やはり焼けすぎるのと、高回転でのパワー感が違うそうです。熱価を上げた方がパ ワーが出る、というのに思い切り納得がいかず、何で???と突っ込んだのですが、実際そうなんだもん、 の一言で終わりました。考えて見ましょう。

燃調はプラグの焼け方に出ますが、逆にプラグの焼けが燃調のわずかな変化につながるのかもしれません。 仮に、本来使うべきプラグより熱価の低いプラグをきれいに焼こうとすれば(本来なら焼けすぎるわけで すから)濃くしてやって燃料冷却してやることが必要です。ターボ車では燃料冷却はよくされています。し かし、燃料冷却=濃い目のセッティング、ということですからパワーの面から行くと不利なわけです(黒鉛 を吐いているターボ車=セットアップやセッティングのレベルが低いのです)。N1シビック用指定ECUの 燃料のセッティングが分からないのでなんとも言えないですが、結構ぎりぎりまで燃調が絞られ、点火時期 も進められているとすれば納得がいきます。プラグの熱価が低ければ若干薄めになるのでしょう。まあ、ス トリートカーではあまり当てはまらない話です。ただ点火系の改善でMAXパワーを上げようとは思いませ んが、街乗りを快適にするための点火系チューンはあり、ですね。セッティング中に、全開にした後だと低 回転での息つきも起きにくく、また息つきが改善した後でも、カーボンがプラグにたまっていない状態では トルク感が明らかに強いことに気付き、低中回転でのトルク感にはプラグも重要なのだと気付きました。高 回転ではほとんど差は出ないですよ。

TOPへ  
 

inserted by FC2 system