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Keigo1951 ピストンリング

ピストンリングを観察しておきます。


ワイセコのリングに付属してくる説明書きです。
ギャップについての説明なのですが、インチ。
25.4で割ってインチにしろって書かれていますが、計算で得られた値もインチなわけで、今度は25.4掛けてmmに戻すので・・・意味ないじゃんね。High-Performance Street/Stripの係数である0.0045と0.0055を85.5mmに掛けて
Top Ring:0.38mm
2nd Ring:0.47mm
ちなみにBP純正リングの値は、
Top Ring:0.30〜0.34mm
2nd Ring:0.30〜0.36mm
なのでちょっと広めの値が指定されていることになります。Notesに「セカンドリングギャップ>トップリングギャップになってることを確認しろと書かれています。それによりトップリングがバタついたり持ち上がったりということが減らせると。
一体どんな理屈なのか?
Wisecoのwebsiteに答えが書いてありました。セカンドリングギャップはメーカー純正エンジンの場合、トップリングより狭くなっているそう。リングは燃焼室からの熱により加熱され、結果として伸びます。その分を見越してリングギャップを設定するわけですが、セカンドリングが受ける熱量はトップよりも少ないためギャップも少なくていい、というのがその考え方のベース。また、意図された出力があり、熱量も正確に計算できるためギャップをギリギリに設定できます。狭くすることでブローバイを減らし排出ガス問題を最小にしたいですし。
一方でWisecoの考え方はこう。改造されたエンジンにおいてリングが受ける熱量はより大きくなる可能性があるため、ギリギリに狭くは設定できない。また、トップリングを抜けた燃焼ガスが、狭いギャップに設定されたセカンドリングによりせき止められると、そのガスはトップリング側に戻されトップリングを押し上げる。その力によりトップリングは上方に変形しシール性がさらに悪化してしまう。

つまり、セカンドリングにコンプレッションリングとしての機能を期待せず、オイルを掻き落とすのと熱をピストンからシリンダーに伝えることのみに専念してもらいたい、というのがWisecoの考え方。
ブローバイは増えますが、リングが元となるエンジントラブルは避けることができます。そういえばマーレのピストンリング隙間もセカンドの方が広かったですね。トップリング0.30mm、セカンドリング0.40mm、オイルリング0.45mmでした。



合口の向きとリングの上下についての説明です。


はっきりとした文字が見えます。文字があればこちらが上になるのがリングのお約束。


銀色がトップで黒っぽいのがセカンド。


トップリング厚=1.0mm


セカンドリング厚=1.2mm


トップリングの断面。わずかに内下側が丸められているようにも見えますが、気のせいかも。触ってもよくわからず。基本的にシンプルな長方形です。


セカンドリングの外下側は切りかかれています。スクレーパリング(ステップ)と呼ばれる形状ですね。このステップはシリンダ壁面のオイルをかき取るために設けられています。


トップリングに比べ、セカンドリングは角が立っています。
バリがないかチェック、溝の中でスムーズに動くことを確認します。


リングをシリンダーボアに入れ、ピストンを使ってシリンダーに対して直角になるよう押し込みます。


合口隙間を測定。マーレの時とは違って、削るのを前提としているらしくとても狭いです。このまま使ったら熱膨張で合口が競って、シリンダーとリングの摩擦が増加、その結果また熱が生まれてさらにリングが膨張・・・でブローまっしぐら。


ダイヤモンドやすりを使って調整。やすりを固定してリングを滑らせて削ります。逆にするとやすりがズッコケてリングを傷つけること請け合い。





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