セッティングその1

実際のチューニングエンジンのセッティングについて、書いていきましょう。
まず私の車(MBWスペシャル・兄貴号)エンジンの組みあがった当時の詳細について(00年.1月現在)。
エンジン仕様
○BP-ZE
○ピストン マツダスピードハイコンプピストン
○ハイカム マルハモータース 加工カム 264° 8.85mmリフト(IN.EX共) IN108° EX112°
○バルブクリアランス IN0.08(±0.02) EX0.20(±0.02)
○ヘッド加工 バルブシートリング当たり面取り直し
         ポート研磨拡大加工
         バルブガイド入れ替え
         バルブ研磨
         ヘッド面研(0.3o)
         スキッシュ落とし(INのみ)
つまり排気量ノーマルのハイカムハイコンプ仕様です。圧縮比は11:1くらいです。

補機系仕様
○ソレックス44φ 35oショートカールファンネル
 パイロット52.5 ラージベンチュリー34φ(44ソレックス純正)
○藤壺技研 タコアシ4−2−1(2が長く腹下まできている)メイン50φ
○N1マフラー(富士フレッシュマン用)メイン出口共50φ
○触媒なし
○点火時期 ノーマルコンピューター ITC補正

さてここからセッティング日記です。組みあがったエンジンでとりあえず走ると、吹けはいいもののトル クが全く感じられず、しかも上の回転で回っていきません。重いとかではなく6500から先で加速がふん づまる様な感じで明らかに何かがおかしい。音の感じも何かやばそうです。妙に割れるような音が吸気・排 気共に出ます。

ここで何を疑うか?バルタイはむしろ高回転向きです。しかもバルタイはエンジンの基本的な特性に大き く影響しますので、下手に変えるとほかのファクターをいじったときの変化が掴みにくくなります。ならば 点火時期とキャブでしょう。前回、点火時期をきちっとやらないままキャブを詰めようとして、デトネーシ ョンによりエンジンをブローさせていますので今回はまず点火時期をやることにします。#訂正 デトネーション→エロージョン

ひと気の無いところでエンジンをゆっくりと空ぶかしして、タイミングライトで点火時期を実測します(G テックレポートでタイミングライトが上の回転で光らないと書いたのは間違いでした)。500回転ごとに測 りグラフ化して、とりあえず机上の理論で考えた値にあうように、出来るだけITCで補正していきます。

ここで発見したのが、ノーマルのまま原田の点火時期補正ユニットをつないだ状態での点火時期は、ノー マルのマップのどの吸入空気量の領域にも一致していないということです。一番空気量の少ない領域に山の 形はよく似ているのですが、値は(特に高回転域で)異なっています。キャブ化に伴い各種のセンサー(ス ロットルポジション、水温、吸入空気温度など)が失われているため、何らかの補正がかかってしまってい るのでしょう。原因が何にしろ、どうせITCで補正できるので(ITCの補正が予測どおりに機能してい ることは確認済み)深く考えるのはやめました。

このときの点火時期の決定はあくまで暫定的なものなので、かなり余裕を持たせました。低中回転での点 火時期を落とし、高回転はもともと多少余裕があったのでそのままです。本格的な詰めは燃調を決めてから です。ただ燃調をいくらいじったところで、例えば、もし点火時期が進みすぎていればノッキングが出て薄 く出来ない、などといったことも起こりえますので、先に確認したわけです。

さて点火時期を変えた結果、パワー特性自体は相変わらずながら、吸気音・排気音のやばそうな感じがか なり減り、丸みのあるノーマルっぽい音に近付きました。少しほっとしました。

ここから燃調セッティングです。空ぶかしや負荷の軽いときなら鋭くふけるので、薄いのかな、と考えま した。高回転での回らない感じが顕著なので、燃圧が足りなく高回転でガス欠になっているのかと思いチェ ックします。しかし燃圧はきちんと0.4kgかかっていたので問題なし、今度はメインを上げます。170 がついていたので180に上げてみます。中回転までのトルク感はかなり良くなりましたが、6000から はまだまだです。これ以上のジェットは持ち合わせが無く、注文して待ちました。

ジェットが届いたので試してみます。230までそろえました。210で試します。ところが・・・今度 は濃いときの症状が出ます。具体的には点火カットされたかのように、ババババ・・・・というキャブから の音がして前に進まなくなります。アクセルを戻すとすっと前に出ます。これが3500回転ぐらいと60 00回転ぐらいで出ます。3000過ぎという、ジェットがパイロットからメインに切り替わる辺りで出る ことや、さらにメインを大きくすると症状はより強くなることなどから、どう考えてもやはりメインが大き すぎることになります。(Gテックレポートでは、余りにもレポートが長くなりそうだったのでこの辺りは 端折っちゃいました) で、納得いかないながらも今度は絞っていきます。すると、なんと165まで絞るとどうも具合がいい。 この前と結果が違うんですが・・・
こういうときは大抵何かが邪魔をしています。しかし、よくよく原因を考えたのですが分かりません。

ともあれ、ここまでのセッティングで、(結果的にですが)6500までは実用になるようになりました。 そこまでの吹けはトルクを伴った鋭いもので、かなり速い。さらにGテックを使い4500までの点火時期 のセッティングをします。加速Gをリアルモードで表示させつつ点火時期を手元のITCでいじるだけと いう、お気楽で寒い季節にぴったりのセッティング作業です。これはかなり効果的でツキが明らかに変わっ ていきます。随分マージンをとりすぎていたようで、5度ほど進みました。それ以上進めるとノッキングこ そ出ませんが、きちんとGが落ちてきて非常に気分がよろしい。理論どうりです。

ここで参考までに一度パワーチェックしてみます。ボッシュのシャシダイでテストしました。ブロー前のほ ぼ同仕様のエンジンでは155馬力でしたので、その後にやったバルブ周りなど、ヘッドのリファインの効 果が楽しみです。
結果は163馬力/6250回転でした。前回は最高馬力が6500回転で出ていたので、少し低回転型 になってしまったことになります。それで160馬力オーバーはまあまあでしょう。もちろん満足はしてい ませんが。何といっても、速いことは速いのですがNAらしからぬパワーフィールが気に入りません。カー ンと上まで回ってほしい。

もともと私のエンジンは7000辺りで最高出力が出るようセットアップしてきているはずです。

セッティングその2に続きます。

TOPへ  
 

inserted by FC2 system