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インジェクションタイミング 4

過去にインジェクションタイミングについて3回書いています。
1回目:INバルブ開直前に噴射にしたら好印象だった
2回目:始動時はバルブが開いている間に吹いたほうが良かった・INバルブ閉じと同時に噴射開始してみたらこれも好印象だった
3回目:変更の結果をA/Fの変化で確認してみた


最終的にはこういう設定になっていましたが、このインジェクションタイミングというやつ、しばらく触れていないとアレ?ってなるヤツなのでもう一度まとめておこうかと思います。


赤マット先輩のNA6CEはLINK G4X制御で、今後ITB化で関わるため予め慣れておこうといじっていて気づいたもの。LINKは720°以上の数値を受け付けてくれません。

そもそもなぜ720°以上の数値の入力が必要なのか。
順を追ってもう一度解説します。
題材はNA6CEの純正カムです。


通常のバルタイダイアグラムだと少し分かりにくいのでタイムラインを描きます。時間は右に流れます。数字はクランク角度で0が圧縮上死点、左に行くほどさかのぼっていきます。


過去にやった実験の結論がこちら。TP=10ではバルブが閉じると同時に噴射を開始し、バルブ傘裏に目いっぱい長く燃料をキープすることで、燃料の温度を上げて燃えやすくする狙いです。一方でTP≧30ではINバルブが開く直前に燃料噴射した方が良く燃えてくれました。


これらの結果を受けて作ったマップがこちら(カム288-288(中心角104-104))でしたが、これは大間違い。


TPが10<<30で変化する間に、インジェクションタイミングがINバルブの開いている時間に掛かってしまうのです。TP=10とTP≧30で設定した角度の加重平均で噴射してしまうのでどうしてもこうなっちゃう。


正しいTP=10の設定はこちら。前のサイクルの閉じ終わりの数値=129°+720°=849を使います。


これでTP=10〜30の過渡においてもバルブが閉じている間に噴射されるようになります。


マップはこうなりました。



ちなみにLINKの初期設定値。圧縮上死点前360°ってのはつまり排気上死点、ということ。排気上死点では排気バルブの閉じ終わりに吸気バルブの開き始めがかぶる、オーバーラップ状態になっています。高回転では排気の勢いに引っ張られて新気が流れ込みやすくなり出力増加が望める一方、低回転では排気がインテーク側に戻ってきてしまうのがオーバーラップの宿命。そんなところにガソリン噴射したら・・・。赤マット先輩がシーケンシャルに設定したところやっぱり相当調子悪かったそうです(諦めてグループ噴射で使ってました)。
# 2023/06追記
NA6CEはなんとグループ噴射なんだそうな。知らなかった・・・平成元年はまだそれがスタンダードだったのか。そりゃシーケンシャル噴射設定にしたら調子も悪くなるわけです(笑)。
/追記


動画の方が分かりやすいかも知れません。



上記のデータはR32GTRの440ccのシングルホールINJを使っていた時のものです。今のマルチホールで微粒子化が可能なINJの場合はTPに関わらずバルブ開直前に噴射終了で最善の結果が得られるような気もします。
720°以上の数値を入力するということは、実際に燃料が噴射される2回転1サイクル以上前のエンジンの状態で計算された噴射量を用いる訳ですから、理論上はこの面でもあんまりよろしくありません。
しばらくインジェクションタイミングを触ってませんでしたが、久しぶりに興味が出てきたので近々実験してみようと思います。





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